経済理論学会ニュース No.3 (2001年7月)

ご挨拶        大谷禎之介
会務報告       幹事会
会計報告
部会報告
 北海道部会(森下宏美)  関東部会(大谷禎之介) 東海部会(高橋 勉,李 修二,神田敏英,福沢直樹)
 関西部会(宇仁宏幸,佐藤真人) 西南部会(福留久大,鳥井鋼生,稲富信博,深町郁彌)
日本学術会議報告   鶴田満彦
エッセイ       川鍋正敏
会員著作リスト
お知らせ      事務局

ご挨拶 学会活動の活性化のためにできること

代表幹事 大谷禎之介

 本年4月から、新幹事会がその任に就くとともに、小生が代表幹事に就任いたしました。
 前幹事会は近年の経験を踏まえて、(1)会費徴収と会員名簿管理の実務を学協会サポートセンターに委託すること、(2)本部事務局を原則として代表幹事の所属機関に置くことを決めました。こうして、今期3年間は本部事務局が法政大学経済学部に置かれることになりました。代表幹事および本部事務局は重い責任を負っておりますが、私どもはその責務を果たすために力を傾注いたしますので、皆さまのご協力をお願いいたします。
 本会は、その英語名にありますようにPolitical Economyの学会です。90年以降Political Economyの研究・教育に大きな負の圧力が加わってきたことはだれしも実感しているところですが、それでも本会の会員数はほぼ1000名の規模で推移しております。しかし会員の老齢化は顕著です。日本社会そのものの老齢化の現われでもありましょうが、それが若手研究者の入会の減少からきていることもまた確かです。それはおそらく、大学や研究機関での若手のPolitical Economy研究者の減少の反映でありましょう。これは見過ごすことのできない事態です。若手研究者に入会を勧誘して会員数を増加させることも大切ですが、最も重要なのは、若手研究者そのものを増やしていくことではないでしょうか。そのために本学会になにができるか、考えてみたいと思います。そのための方策について皆さまにご意見、ご提案がおありでしたら、ぜひとも幹事を通じて幹事会にお伝えください。
 いまのところ、本学会の活動として会員の目に見えるのは、年1回の会報発行と年1回の大会、そして所属している部会の活動でしょう。年間をとおして学会全体の活動を意識できるようにするには、学会とその周辺での研究活動についての情報の交換が不可欠です。この「経済理論学会ニュース」も、財政的制約があるとはいえ、年1回刊です。この状況を突破できる可能性をもつのが、発展めざましいインターネットの利用です。上手に利用できれば、わずかな財政負担で恒常的な情報提供・交換ができるでしょう。本学会はすでにインターネット上にホームページをもっておりますが、本号で紹介しておりますように、本会のメーリング・リスト(ML)を立ち上げました。経済学史学会のMLであるshetに参加されている会員であればMLについてかなりポジティブなイメージをおもちのことでしょう。本会のMLも、もし有効に使われるなら、経済学界のなかで本学会が果たしうる役割を大きく広げていくことに役立ちうるものと考えております。そのためには参加会員のパーセンテージが高まらなくてはなりません。皆さまの積極的な参加をお願いいたします。
 6月の幹事会は、国際交流担当幹事による小委員会の発足を決めました。すでに、その提案によって秋の第49回大会プログラムに外国研究者の特別講演を組み込むことになりました。この小委員会を中心にMLlを通じて海外のPolitical Economy研究者たちについての情報をお伝えするとともに、進んで研究の交流や討論を図っていきたいと考えております。
 本学会の活動の活性化が、究極的には、会員の研究活動の活発化とそれによる研究成果の豊富化にかかっていることは言うまでもありません。皆さまのご研究がいっそう進展し、いっそう豊かな成果をもたらされることを願っております。□


I 会員総会

2000年度の会員総会は10月21日(土)、午後5時~5時40分まで、高知大学朝倉キャンパス共通教育棟212教室で開かれた。

(1)議長選出

 幹事会からの推薦により井村喜代子会員と福留久大会員を議長に選出した。

(2)会務報告

 森岡孝二代表幹事から、①幹事会の活動、②『経済理論学会ニュース』第2号の発行、③学術会議会員候補者の選出、④第48回大会、⑤会員の動向、⑥第49回大会会場校(駒沢大学)、についてそれぞれ報告がなされ了承された。なお③については所定の手続きを経て、本学会選出の鶴田満彦会員が、第17期に引き続き、第18期日本学術会議会員(任期3年)になった。

(3)『年報』編集委員会報告

 増田寿男第37集編集委員長より第37集の作成結果について報告がなされた。また、小西一雄第38集編集委員会事務局担当より第38集の編集について報告がなされた。

(4)部会活動報告(前出「部会報告」欄参照)

(5)1998年度決算報告

 仲野組子会計担当幹事より標記について報告があり、近藤禎夫・山口孝両会計監事の「適正に行われている」との監査報告を含めて了承された。

(6)1999年度決算予想および2000年度予算案

仲野組子会計担当幹事より、標記についての説明と提案があり、了承された。(詳細は後出資料参照)

(7)役員選挙管理委員会報告

有井行夫選挙管理委員長より、2000年9月に実施された役員選挙結果について報告があり了承された(新幹事一覧は後出参照)。

(8)日本学術会議報告(後出参照)

 

II 『年報』

(1)『年報』第37集は2000年9月25日に発行された。発行部数1430部、うち会員配布分および保管分は1030部(発送985部)、青木書店買い上げ分は400部(定価2800円、消費税を除く)。

(2)『年報』第38集の編集委員は次の7名が選任された(敬称略)。

  大石雄爾(編集委員長)、小西一雄(事務局担当)、中川 弘、長島誠一、小幡道昭、米田康彦、佐藤真人

 

III 幹事会

 2000年度幹事会は7回開催された。

(1)幹事会の体制について(後出役員一覧を参照)

(2)事務局体制について

事務局体制について検討を重ね、次年度からは会費徴収業務を外部委託することを前提に、近年実施してきた本部事務局と名簿・会費事務局の分離体制を止め、本部事務局で会費徴収以外のすべての業務を行うことになった。

(3)会費徴収業務の外部委託について 

会費徴収事務の外部委託について検討を重ね、会費徴収とそれにかかわる会員管理について、学協会サポートセンターに委託することを決定し、会費徴収実務と口座管理に支障をきたさないように契約上の詰めを行うことを前提に、森岡孝二代表幹事の名で同センターと契約書を交わすことになった。

(4)第48回大会について

  2001年度第49回大会は10月20日(土)、21(日)の両日、駒沢大学で開催することになった。

共通論題は「アメリカの『繁栄』を問う」とする。1990年代の日本が戦後最大の不況に沈んできたのとは対照的に、1990年代のアメリカは長期にわたって経済拡大を続け、「ニューエコノミー」論を呼び起こすほどの「繁栄」を謳歌してきた。そのアメリカも、近年の株式ブームを牽引してきたネットバブルが弾け、2000年後半より景気後退が鮮明になっている。
 昨年度の共通論題は「グローバリゼーションの政治経済学」であった。その報告募集の際も現代資本主義の変容と危機のグローバルな連関を分析する必要が念頭におかれていたが、今年度のテーマでは、アメリカの分析を、単なる一国経済論に終わらせず、アメリカ、ヨーロッパ(eu)、アジアのグローバルな関連を視野に入れて分析することが求められる。と同時に、アメリカの「繁栄」とその帰結が、現代資本主義の変容と危機にとっていかなる意味をもつかを、経済理論学会にふさわしく、すぐれて理論的に問うことが強く要請される。
 また、昨年度に引き続き、今年度も、特設分科会として、「20世紀のマルクス主義」を設置することになった。世紀の転換点にたって、資本主義分析の基礎理論から現代資本主義論および社会主義論にいたる問題領域で、20世紀マルクス経済学の成果と問題点を明らかにすることが狙いである。

IV 2000年度役員

 幹事
  有井行夫(駒沢大学)
  一井 昭(中央大学)
  今宮謙二(中央大学)
  井村喜代子(慶応大学名誉教授)
  海野八尋(金沢大学) 名簿・会費担当
  大石雄爾(駒沢大学)
  小幡道昭(東京大学) 
  唐渡興宣(北海道大学) 
  河村哲二(武蔵大学) 
  角田修一(立命館大学)
  菊本義治(神戸商科大学)
  北原勇(慶応大学名誉教授)
  小西一雄(立教大学)
  重田澄男(岐阜経済大学) 
  柴垣和夫(武蔵大学)
  杉浦克己(帝京大学)
  関根猪一郎(高知短期大学)
  中川弘(福島大学)
  中谷武(神戸大学)
  長島誠一(東京経済大学)
  平井規之(一橋大学) 
  福留久大(九州大学)
  前畑憲子(立教大学)
  馬渡尚憲(東北大学)
  増田寿男(法政大学)
  森岡孝二(関西大学) 代表幹事
  八木紀一郎(京都大学)
  山口重克(国士舘大学)
  山田鋭夫(名古屋大学)
  米田康彦(中央大学)
  仲野組子(関西大学、非) 会計担当
  西野 勉(高知大学) 第48回大会担当

 会計監事
  近藤禎夫(駒沢大学)
  山口 孝(明治大学)

 本学会推薦の日本学術会議会員        
  鶴田満彦(中央大学)

 本学会推薦の日本学術会議経済理論研究連絡委員会委員
  増田寿男(法政大学)

 本学会推薦の日本経済学会連合評議委員
  杉浦克己(帝京大学)
  小幡道昭(東京大学)

V 2001年度第49回大会

 共通論題「アメリカの『繁栄』を問う」
 会場:駒沢大学経済学部
 会日:2001年10月20日(土)・21日(日)

  詳しくは「大会プログラム」を参照。

VI 会員の動向

2000年度における新入会者35名、退会者22名で、2001年3月末の会員数は978名である。退会者のうちの物故会員は海道進、鎌田正三、北村健之助、小谷義次、鈴木正、岨常次朗、前川恭二の7名である。ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げる。

VII 2000年度経済理論学会役員選挙

2000年9月、「役員選挙細則」に基づき、有井行夫会員を選挙管理委員長として幹事選出(任期:2001年4月1日~2004年3月31日)の選挙が行われた。
 幹事に選出された会員一覧(補充幹事を含む。50音順)。

 一井 昭(中央大学)
 伊藤 誠(国学院大学)
 今宮謙二(中央大学名誉教授)
 植村高久(山口大学)
 大石雄爾(駒沢大学)
 大谷禎之介(法政大学)
 大西 広(京都大学)
 岡本英男(東京経済大学)
 小幡道昭(東京大学)
 金子 勝(慶応大学)
 河村哲二(武蔵大学)
 唐渡興宣(北海道大学) (地域的配慮にもとづく補充幹事)
 北原 勇(慶応大学名誉教授)
 小西一雄(立教大学)
 柴垣和夫(武蔵大学)
 菅原陽心(新潟大学)
 杉浦克己(帝京大学)
 関根猪一郎(高知短期大学)
 鶴田満彦(中央大学)
 中谷 武(神戸大学)
 長島誠一(東京経済大学)
 西野 勉(高知大学)
 野口 真(専修大学)
 芳賀健一(富山大学)
 半田正樹(東北学院大学)
 福留久大(九州大学)
 前畑憲子(立教大学)
 増田寿男(法政大学)
 八木紀一郎(京都大学)
 山口重克(国士舘大学)
 米田康彦(中央大学)
 有井行夫(駒沢大学) (大会会場校担当幹事)
 佐藤良一(法政大学) (本部事務局担当幹事)
 原 伸子(法政大学) (本部事務局担当幹事)

VIII 代表幹事の選出について

井村喜代子幹事を委員長とする代表幹事選挙管理委員会のもとに2001年1月に全幹事による代表幹事選出の選挙が行われ、2001年4月からの代表幹事として大谷禎之介会員(法政大学経済学部教授)が選出された。

【 会 計 報 告〔本web版では省略〕

北海道部会報告

 北海道部会設立準備のため、北海道在住の経済理論学会会員に呼びかけ、昨年中に計4回の研究会を開催した。以下はその概要である。

第1回研究会

報告者:佐々木 洋(札幌学院大学)
報告題名:ロシア急進経済改革と極東経済――ロシア資本主義の本源的蓄積によせて――
日時・会場:2000年3月25日(土)午後2時より 北海道大学経済学部3階会議室
参加者:13名

報告要旨:
 ロシア経済の現状を、社会主義から資本主義への本源的蓄積過程ととらえ、そこに潜む諸困難を指摘した上で、今日のロシア資本主義は産業的な発展条件を確立するための原蓄国家の後ろ楯を必要としていること、新古典派的なimfコンデンショナリティには無理があることが示された。

第2回研究会

報告者:白井 邦彦(釧路公立大学)
報告題名:日本の工場と労働――機械産業を中心として――
日時・会場:2000年6月17日(土)午後2時より> 北海学園大学大学院研究棟302号室
参加者:16名

報告要旨:
 機械産業における90年代以降の生産システムの展開方向を、セル生産方式、自律完結工程等の「人に依存した生産形態」への展開として把握し、その上でそこから生じる人材活用上の問題点(多工程担当者育成、モラールの維持)について、工場調査に基づき分析報告された。

第3回研究会

報告者:寺田悦子(北海学園大学大学院経済学研究科博士課程修了・大学院研究生)
報告題目:eu構造基金政策の進展とその影響――スコットランドでの事例を中心に――
日時・会場:2000年9月30日(土)午後3時より 北海学園大学大学院研究棟302号室
参加者:12名

報告要旨:
 スコットランドにおけるeu構造基金政策の分析を通して、euレベルでの地域政策の拡充がeu―加盟国―地域およびよりローカルな地方の関係にもたらした変化、さらに、統合の深化への対応において、行政構造上中央集権的な加盟国とその地域が直面する課題が報告された。特に、eu構造基金政策におけるパートナーシップ原則の意義が強調された。

第4回研究会

報告者:小坂 直人(北海学園大学)
報告題目:電力自由化時代のエネルギー供給
日時・会場:2000年12月16日(土)午後2時より 北海学園大学大学院研究棟302号室
参加者:10名

報告要旨:
 電力・ガス事業を中心とした、いわゆる「公益事業」分野でも、新自由主義に基づく規制緩和が進められている。電力を中心とした公共的インフラ産業において自由化を進めることが日本のエネルギー政策として的確な選択であるのかが検証された。

(森下宏美・記)

関東部会研究会

 日時:2001年2月17日14時~17時
 場所:法政大学大学院棟
 報告者:prof. dr. sc. rolf hecker
 テーマ:『経済学批判要綱(grundrisse)』刊行秘話

 beitraege zur marx-engels-forschung. neue folge の編集者であり、第1次megaとその編集者たちの隠された歴史を発掘する長期にわたる作業の成果を精力的に発表してこられているロルフ・ヘッカー氏が、mega編集作業の支援のために日本mega編集委員会仙台グループの招きで来日されたので、氏の最近の研究から、「スターリニズムの状況下でのマルクス経済学草稿(1857/1858)の初公刊をめぐる知られざる歴史――『経済学批判要綱』のタイトルで(1939/41年刊)――」というタイトルのもとに、マルクスの『経済学批判要綱』が1939-41年にモスクワで刊行されることができた歴史的経緯とその中心人物である編集者ヴェレルとについての報告を受けた。はじめに、早坂啓造氏(元岩手大学)がテーマの輪郭とヘッカー氏の業績とについて紹介されたのち、ヘッカー氏が報告され、早坂氏が通訳された。報告の内容は、大要、次のとおりである。

*  *  *

  『経済学批判要綱』は最初『要綱』テキストを収めた本巻が1939年、それ以降の付録が1941年にモスクワで刊行された。広く普及した1953年版はこれの復刻版だった。『要綱』が東西ドイツで知られるようになったのはロスドルスキーの著書とトゥフシェーラーの著書とによってだったが、とくに後者は、『要綱』の編集に携わった人物を高く評価して、文献リストに彼が1940年と1941年とに書いた2篇の論文を挙げていた。じつはこの2論文こそ『要綱』の公刊を告げるシグナルだった。その執筆者であり、のちに『要綱』編集者となったのはユダヤ系ロシヤ人のパーヴェル・ヴェレルである。序文末尾のマルクス・エンゲルス・レーニン研究所という署名を除けば、『要綱』のなかに編集者として名前が記されているのはこのヴェレルだけである。モスクワのアルヒーフに保存されている文書類の調査によって、ヴェレルの活動を含む『要綱』の編集と刊行をめぐる歴史がようやくほぼ完全に明らかになってきた。
 ヴェレルはモスクワ南東の都市コズロフで1903年4月1日に生まれた。10代をドイツで過ごしたのち、1924年にモスクワに戻り、1925年はじめにマルクス・エンゲルス研究所で翻訳係の地位を得た。第1次megaの最初の巻が刊行された1927年に所員になった。彼の仕事は当初から、マルクスの経済学抜粋ノートと諸草稿との解読や編集に関わっていた。すでに1926年には、『要綱』を含む1857-58年の経済学諸草稿と『1861-1863年草稿』とを整序し解読する仕事を委嘱されており、当時作成された『1861-63年草稿』の262ページのタイプ原稿と、23冊のノートについての詳細な記述とが残っている。1930年刊行の第1部第2巻の編集でも彼は重要な役割を果たしていた。
 1931年1月、所長リャザーノフが逮捕され、多くの所員が解雇されて研究所の活動は中断された。党に所属していなかったヴェレルは、レーニン研究所と統合された後のマルクス・エンゲルス・レーニン研究所のなかで、マルクスの筆跡を解読できる所員の一人としてなくてはならない存在だったこともあって、この粛清を免れた。彼は、mega第4巻(イギリスにおける労働者階級)と第5巻(ドイツ・イデオロギー)の編集に携わったのち、『マルクス・エンゲルス・アルヒーフ』のために「第6章 直接的生産過程の諸結果」のテキストを準備する仕事を始めた。また、『要綱』からの恐慌論に関する諸断片を「経済学批判の準備労作」としてコム・アカデミー付属世界経済・世界政治研究所の論集で紹介した。こうしてmega第2部諸巻の準備が始められたのだった。
 1934年はじめ、ヴェレルは本格的に『要綱』と取り組み始め、その成果として、1934年に「マルクスの1857-1858年の経済学諸草稿」という論文を発表した。彼の仕事は進んで、「貨幣の章」を『マルクス・エンゲルス・アルヒーフ』で発表できるほどになっていた。
 しかし、1935年に研究所の活動についてソ連共産党中央委員会が出した決定はmegaに一言も触れていなかった。スターリンの承諾なしにmega刊行を進めることは不可能だったから、この決定で第1次megaの終焉は確定した。第2部の作業も凍結されて『資本論』の公刊は問題外となり、ふたたびアルヒーフの仕事に配属されたヴェレルは、経済学諸草稿の詳細な記録文書を作成する委嘱を受け、保存文書のすべてについて詳細に記述した「明細記録〔パスポルト〕」を作成した。
 1936年初頭の粛清に伴う組織替えで、ヴェレルがほとんど編集を終えていた『要綱』の仕事を新任所員が引き継ぐことになった。ヴェレルは抗議の手紙を送り、解職を願い出た。10月に解任が発令され、彼は所員でなくなった。しかし彼はアルヒーフとのあいだで、遺稿類のカタログ作成の契約を結んだ。
 この1936年の夏と秋に研究所は『要綱』と『1861-63年草稿』を含む『資本論』準備草稿のオリジナル草稿を2万米ドルで入手したが、このころヴェレルは、ノートのカタログを作ると同時に『要綱』の原稿とオリジナル草稿との対照を行っていた。
 1937年夏、またもや粛清の波が研究所を襲い、ヴェレルは作業メモまで引き渡さねばならなかった。それでもヴェレルは、相対的に自立した立場を利用して自分の権利を主張し、契約の遵守を要求して譲らなかった。彼は、新しい契約の提案をも受け入れないまま、数ヶ月間、『要綱』の原稿を完成する作業を続けたが、1938年1月に外国語図書出版社と翻訳の契約を結び、同年5月には研究所との請負契約を回復した。
 マルクス・エンゲルス部の指導部がまたもや更迭されたのちの1938年11月には『要綱』をこの年のうちに出版できる見通しができていたが、それをmegaの1巻として刊行することは問題外だったし、研究所は編集責任者となることを控えた。
 1939年5月翻訳者として研究所に雇われたヴェレルは、出版の仕事のほかに解読者養成を引き受けた。これによって彼は公けに『要綱』の校正と編集者序文の準備とに携わることができた。並行して草稿の諸部分をロシヤ語で公刊する準備も進め、雑誌『プロレタリア革命』の1939年第3号に「資本主義的生産に先行する諸形態」を発表、さらに雑誌『ボルシェヴィク』で、「資本主義の没落と社会主義の建設」に関する抜粋を公刊した。
 1939年11月23日に『要綱』は印刷にまわされ、3140部が発行された。その後の1940年2月の日付のある、抜粋ノートの詳細なカタログが残されており、それには、マルクス・エンゲルスによって抜粋されたすべての文献の著者が記載され、抜粋ノートについて厳密な内容記述が行なわれている。
 同年3月11日に『経済学批判要綱』の付録巻が組み版に回され、1941年6月28日に3100部が発行された。 しかし、6月のナチス・ドイツによるソ連奇襲ののちまもなく彼は志願して最前線に赴き、同年11月モスクワ近郊で戦死した。戦場に出る前に彼が付録巻を手にできたかどうかは不明である。

*   *   *

 法政大学経済学会との共催でもたれたこの研究会の出席者は25名で、報告のあと質疑応答が行なわれた。ヴェレルの研究上の業績をどのように見るか、スターリンによる抑圧はどのような影響を残したと考えられるか、研究所の所長の交代や彼らの役割はどのようなものであったのか、等々さまざまの側面にかかわる質問が出され、ヘッカー氏から説明や典拠の紹介などが行なわれた。研究会のあと、hecker氏を囲んで懇親の会がもたれた。
 なお、報告の内容は、当日、早坂氏の翻訳によるプリントとして配布されたが、そのもととなった詳細な研究論文は、この秋に刊行されるbeitraege zur marx-engels-forschung. neue folge、 sonderband 3 に掲載されるので、興味をもたれる方は参照されたい。

(大谷禎之介・記)

東海部会研究会

1. 2000年度第1回研究会は、7月15日(土)午後1時より中京大学会議棟・中会議室で開催され、出席者は約25名であった。報告者とテーマならびに報告要旨は次の通りである。

1)    好況の発生と展開過程について
――超過需要の発生と累積、実質賃金率の上昇、自己資本利潤率の上昇――
   高橋 勉(岐阜経済大学)

<報告要旨>
 好況は、資本や労働者にとって「好」ましい状「況」であるという「光」の側面と、いずれ恐慌となって顕在化する要因が潜在的に累積しているという「影」の側面とを持っている。報告では、対象を好況の「光」の側面に限定した上で、資本蓄積が理想的平均から逸脱し、そのような好況の「光」の側面を発生させる過程の解明を課題とした。そして、そのような過程の特徴は以下の三点に要約することができる。第一に、第 i 部門の自立的発展における第 ii 部門から第 i 部門への部門間資本移動によって信用創造が行われ、全般的超過需要が発生する。その際、自己資本比率が低下する。第二に、自己資本比率の低下はレバレッジ効果により自己資本利潤率を上昇させ、理想的平均を超えた生産拡大をもたらす。第三に、この生産拡大は実質賃金率を上昇させ、総資本利潤率を低下させることになるが、それは自己資本利潤率を低下させない範囲内で行われるため、自己資本利潤率も同時的に上昇する。こうして、全般的超過需要、自己資本利潤率上昇、実質賃金率上昇という、資本や労働者にとって「好」ましい状「況」が発生することになる。

2)    北朝鮮への国際食糧援助――国連機関報告書から見えるもの――
   李 修二(四日市大学)

<報告要旨>
 1995年に朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)を襲った大水害以来、これまで5年間にわたって国際連合専門機関が北朝鮮に対して行ってきた災害援助、食糧援助、農業復興支援について検討し、報告した。依拠した主な資料は、食糧農業機関(fao)と世界食糧計画(wfp)による作物・食糧供給査定調査報告書、国連開発計画(undp)による農業復興支援円卓会議資料などである。
 報告では、まず、国連機関を主なルートとする北朝鮮への食糧援助の仕組みと実績を明らかにした。次に、国連機関が、国際社会に向けて北朝鮮への食糧援助や復興支援を要請する際の「説明」として、国連機関自体が北朝鮮農業の実態をどのように評価しているのかを検討した。その際、今日の日本における北朝鮮農業についての一般的な評価との違いに着目した。そして、最後に、北朝鮮への援助における国連機関の「機能」の意味を考察した。緊急人道食糧援助から農業復興支援へとその重点をシフトさせつつある援助活動を通じて、援助資金調達力に制約が課せられながらも、国際社会に向けて信頼できる情報を開示させていく、その「機能」の意義を検討した。

2. 2000年度第2回研究会は、2001年1月27日(土)午後1時より中京大学会議棟・小会議室で開催され、出席者は約15名であった。報告者とテーマならびに報告要旨は次の通りである。

1)    価値の生産価格への転化:偏倚率による生産価格の価値表現
 神田 敏英(岐阜大学)

2)    第二次大戦後西ドイツの社会保険改革をめぐる諸議論
 福澤 直樹(名古屋大学)

<報告要旨>
 転化論はマルクス労働価値説にとって要でありその試金石とも言える。我々の観点はマルクス転化論は正当な方向を開くが彼の説明自体はボルトキビッチの指摘した不十分さをもち修正を要する、従ってまた彼の結果に固執するのは無用だと言う事である。この観点から既に生産係数式により価値・生産価格体系の基本構造が解明された。我々はやや独自な概念を用い、新たな定式化を試みる。
1 基軸概念と定式 生産の有機的構成k:投入生産手段価値に対する直接労働量の比率=c/l.価値労働分配率ω:支払・必要労働の比率=v/l.偏倚率α・β・γ:同じ実物量に対する生産価格・価値比率。総生産手段・総賃銀財・総利潤財部門。この概念は集計容易・双方に使用可。価値式c+v+m=l(k+1)、生産価格式p=l(αk+βω)(1+r)。マルクス利潤率rv= 我々の利潤率rp=(添え字eは総計一致時を表す)

2 価値体系と生産価格体系 上の式により総生産価格は総労働l(k+1)から成り個別にずれるだけと示される。ずれは0<ω=<1のω変動により=1で生産価格は価値に一致、低下につれ拡大しその範囲は限定される。故にフォークではなく扇形を成し価値体系が本源生産価格体系が派生と位置付けうる。

<報告要旨>
 報告は第二次大戦後、西ドイツ地域における社会保険制度の再建、改革過程と、その背景となる諸議論を整理したものである。
 第二次大戦後、社会保険を再建するにあたり、ドイツの従来型の複数制度、複数機関方式を単一の統一型保険方式に改める案が連合国管理理事会より提示されたが、この案はソ連占領地域でのみ実施され、西側地域では廃案となり、そこでは旧い制度体系が維持された。その根拠としてアメリカの意向を強調する「阻害された新秩序」テーゼが存在し、それに対してドイツ側の意向、選択の余地を強調する批判が多々なされてきたが、連合国側の意向や冷戦などの外部環境には無視し得ぬものがあること、および元来統一型保険を支持してきた社会民主主義者らの保険形態の原則論についてのアンビバレンスを顧慮すべき旨を本報告はまず指摘した。次いで、その後の社会保険改革論の背景となる新自由主義=「社会的市場経済」および社会民主主義双方の50年代の社会政策論を整理、とりわけ社会民主主義者らの議論において、市場経済の受容、個人のイニシアティヴ、インセンティヴを重視する姿勢、そしてそこから年金改革においても従前所得対応の差別化された給付システムを受容するに至る経過を明らかにした。新自由主義の政策基調にもかかわらず50年代に西ドイツで社会給付の国民負担率が顕著に伸びた主要な要因の一つが1957年の年金改革であるが、そのような形での年金改革をもたら得たのは、与党を支えるキリスト教民主主義内部での政策基調の幅の広さもさることながら、上述のごとくの社会民主主義側の現実主義路線への歩みもまた不可欠の要因であった旨、展望を示した。

関西部会報告

2001年1月27日(土)関西大学において、研究例会を開催した。今回は宇仁宏幸氏(京都大学)の著書『構造変化と資本蓄積』(有斐閣、1998年)を取り上げて、著者ご自身の報告と佐藤真人氏(関西大学)のコメントを中心に、議論を行った。参加者は10数名と比較的少なかったが、きわめて有意義な議論であった。

1.『構造変化と資本蓄積』について   宇仁宏幸(京都大学経済学部)
 『構造変化と資本蓄積』(有斐閣)の主な内容と分析方法面の特徴について報告した。この本では、第二次大戦後から1980年代までに先進資本主義国でみられた構造変化が、資本蓄積に対してどのような影響を及ぼしたかについて分析した。具体的な構造変化としては、耐久消費財の普及などにみられる消費様式の変化や、輸出拡大などの貿易パターンの変化をとりあげ、このような構造変化が、資本蓄積の加速や減速と結びついていることを理論モデルにより明らかにした。ただし、直接結びついているのではなくて、レギュラシオン理論では調整様式と呼ばれる制度的仕組みが媒介するかたちで結びついている。構造変化が資本蓄積におよぼす作用の方向や大きさは、調整様式のあり方によって左右される。とくに戦後日本では、内容の異なる構造変化が次々と連続的に生じたこと、また独自の雇用制度が存在したことなどに基づき、構造変化の多くは資本蓄積にとってプラスに作用した。ただし、今後を展望すると、急速な構造変化が資本蓄積と経済成長を主導することは期待しがたい。したがってこれからは、構造変化やそれにともなう需要増加に依存せずに技術進歩を実現するしくみや、低成長のなかで雇用を確保し、公正な所得分配を保障するしくみが必要と考えられる。
 また、分析方法面での主な特色は次のとおりである。第一に、スラッファタイプの2部門モデルに、技術変化、資本蓄積、最終需要構成変化を導入し、動学化した。また、連立方程式体系を閉じる制約条件として、利潤率不変や賃金率不変ではなく、所得分配率不変を採用した。第二に、需要成長を決定する諸変数の関係(需要レジーム)と労働生産性上昇を決定する諸変数の関係(生産性レジーム)という二つの関係式にモデル体系を集約して、図式的な表現を可能した。第三に、需要増加が労働生産性上昇をもたらすという動学的収穫逓増をモデルの中に明示的に取り入れた。第四に、レギュラシオン理論の主要命題、つまり、フォード主義的消費様式成立が、資本蓄積にたいしてプラスの効果をもつことや、蓄積体制がもつ潜在能力の涸渇から内生的に危機が発生ことなどを、このようなモデル分析を通じて、かなり厳密に定式化した。
 以上のような報告に対し、コメンテーターの佐藤真人氏や参加者から多くの質問や意見が出された。その主なものは、所得分配率不変という仮定の根拠を、労使の力関係の安定においているが、説明不足であるという意見、生産性上昇をもたらす要因として需要成長と独立的技術進歩が挙げられているが、この他に投資や労務管理手法革新なども考慮すべきであるという意見、1960年代の日本の高度成長が消費の構造変化によるとされているが、投資主導とみるべきであるという意見であった。これらの意見が指摘する問題は、長期的構造変化と、投資や雇用などの短期的変動パターンとの連関が、この本では分析されていないことに関わっていると報告者は考えており、現在進めている研究のなかで答えたいと考えている。

(宇仁宏幸・記)

2.コメント   佐藤真人(関西大学経済学部)
1.全体の特徴
 本書は、2商品モデルで偏りのある技術変化、最終需要の構成変化(これらを構造変化と呼ぶ)を伴う蓄積経路の利潤率と失業率を持続性という観点から数学的に解析し、さらに戦後日本経済に適用したと要約することができる。モデルの数学的解析が行われているだけでなく、実証分析、学説の検討も行われ、しかも実証には統計数字によるものと聞取り調査によるものとが含まれる。どの部分でも叙述は簡潔で、設問、推論、結論が明解に説得力をもって述べられている。一読するだけでも著者の多方面にわたる優れた能力、払われた努力の大きさを実感させられる立派な研究である。敬意を表したい。以下より具体的に本書の意義を述べよう。
2. 「垂直的統合」、2商品の利潤率の均等、分配率一定の仮定等分析上の困難をよく工夫して克服され、「需要レジ-ム」と「生産性レジ-ム」で解析された。個々の仮定については、既にあれこれの注文が出されたと思われる。にもかかわらず、この点は共通して高く評価されたと推察する。さらに感心するのは、日本経済へ適用し、戦後日本経済の説明と展望が行われていることである(特に6章)。6章、7章とも、デ-タの処理だけにも多大の労力を費やされたはずである。
3. 労働生産性上昇の内生化
 技術変化(労働生産性上昇、資本係数変化)は技術的要因だけで決るのではなく、労使関係の影響を受けることが説明され(4章)、労働生産性上昇の内生化が行われる(5章)。具体的には、労働生産性上昇率を需要増加率の関数と仮定する(動学的収穫逓増)。これは、このようなマクロ的結果を生むミクロレベルの経済主体の行動についての理論的実証的研究に道を拓いた。
4. 蓄積の持続性にとって技術変化の重要性は異論のないところであるが、しばしば技術的要因と見なしがちである。この点について労使の力関係の影響を強調され、且つ事例研究で裏付けされていることは意義が大きい。なお研究会の参加者から、この問題提起自身(使用価値が社会形態の影響を受ける)は古くからある事を教えて頂いた。
5. 質問
  本書において分配率一定の仮定の役割は大きい。その現実的根拠として、分配率の決定要因として労使の力関係が重視され、分配率一定の仮定の根拠として労使の力関係の安定が強調される(46-48ペ-ジ)。春闘が分配率を安定させる機能を持つことが述べられる(92ペ-ジ)。現在の危機からの脱出策の一つとして、労働分配率の切下げが挙げられる(122ペ-ジ)。
 歴史的には労資の力関係の影響は大きくなってきただろう。しかし日本の場合、景気循環の局面だけでなく、1970年代前半を境にした長期水準の上昇についても、新投資需要の減少⇒利潤の収縮⇒賃金の相対的上昇という資本側内部の関係の影響が大きいと思える。分配率を目標とする労資抗争があり、両者の力関係によって分配率が安定したり変化するとは思えない。最終的には「労資の力関係」をどのような尺度で計測するかという実証の問題にぶつかるが、分配率一定の仮定の現実的根拠は未決の問題としておきたい。

(佐藤真人・記)

西南部会報告

 2000年度の西南部会は、7月15日土曜日、13時30分より、九州国際大学(世話人・古川正紀会員)のお世話により、同大学研究棟第一会議室において、開催された。約30人の参加で下記の3本の報告・討議が行われた。会務報告の終了後、17時30分より大学・kiuホ-ル・アッセンブリ-ル-ムで懇親会が催され、置酒歓談の時を過ごした。特に、マルクス経済学を中心とする経済学の教育・研究のあり方について、論議が交わされた。

(1)資本制経済の不安定性と金融――好況局面を中心に
   鳥井鋼生(久留米工業大学)
   司会・福留久大(九州大学)

(2)歴史的分析から見た理論―イギリス資本市場を題材に
   稲冨信博(九州大学)
   司会・岩田健治(九州大学)

(3)1990年代のプロジェクト・ファイナンス
   深町郁彌(九州大学・名誉) 
    司会・古川正紀(九州国際大学)

 稲富報告に関しては、同著『イギリス資本市場の形成と機構』(2000年2月、九州大学出版会刊)が、深町報告に関しては、同著『国際金融の現代』(1999年12月、有斐閣刊)が、刊行されており、詳細は両著の参照によって窺うことができる。以下には、各報告者による要旨を掲げる。

(福留久大・記)

「資本制経済の不安定性と金融――好況局面を中心に」
 二つのことを考察した。(1)金融を考慮した上で、好況が累進的に進行する機構(つまりいったん好況になると、時間の経過につれて好況の度合いが強まっていき、一株当たり利潤が上昇していく機構)を考察した。これは資本制経済の不安定性を表す。(2)好況が累進的に進行するのを制御する機構をいくらか考察した。
 金融に関する結論だけ三つ記す。(1)金融が好況を促進する経路に次のものがある。一株当たり利潤が上昇⇒株価が上昇⇒総株式の平均発行価格が上昇⇒自己資本比率(=平均発行価格×総株式数/資本高)が上昇⇒借入高/資本高が低下⇒借入金利額/資本高(借入金利×借入高/資本高)が低下⇒一株当たり利潤は上昇。
 (2)中央銀行はインタ-バンク金利を高めに誘導して、好況の進行を妨げることができる。そうしないことが好況の進行の条件だ。好況の進行を妨げる経路は次の通りだ。第一に、インタ-バンク金利が上昇⇒(a)借入金利が上昇。第二に、インタ-バンク金利が上昇⇒預金金利が上昇⇒株価が低下⇒…⇒(b)借入高/資本高が上昇。第三に、(a)と(b)⇒借入金利額/資本高が上昇⇒一株当たり利潤は低下⇒…⇒一株当たり利潤は低下。
 (3)好況が累進的に進行すると、物価や貨幣賃金率の上昇率は上昇していく。そこで中央銀行はこれを阻止しようと、インタ-バンク金利を高めに誘導する。この引き締め策が好況の累進的進行を阻止する可能性を有する。

(鳥井鋼生・記)

「歴史的分析から見た理論――イギリス資本市場を題材に」
 本報告の課題は、「原理論は19世紀中葉のイギリス資本主義論ではない」という山口重克氏の立論を支持しつつも、資本市場の原理的展開・段階論に参考となるであろう、イギリス資本市場の歴史的事実を二、三呈示することである。
 第一の事実は、資本市場に流入する資金源泉の点で、国債・運河・鉄道投資において、産業資本家(歴史的には製造業者・商人、gentleman・esquireと称した階層の1/2)が重要な役割を果たしたことである。また、程度は劣るが、運河投資における地主階級の役割も無視できない。
  第二の事実は、資本市場と貨幣市場の関係に関して、貨幣市場よりも歴史的には国債市場の完成が早いことである。これを指摘するのは、「コール・ローンが取引所を支えたor貨幣市場が資本市場を支えた」と主張されるが、それは貨幣市場から資本市場をみた一方的見方で、逆に、取引所の存在が貨幣市場に遊休資金の運用先を提供したという側面を無視している。もちろん、国債市場の完成が歴史的に先行するからといって、資本市場が貨幣市場に一方的に影響を与えたと主張するわけではないが、両市場の関係が相互連関であり、相互依存関係にあったという事実を軽視すべきではない。
  第三は、十九世紀中葉から第一次大戦までの全期間、民間銀行預金額は取引所上場額の1/8程度であったという事実である。これは、資本市場には所得流通が堆積・投資されることから当然のことであるが、今まで、段階論においても注目されなかった事実である。
 以上の諸点を踏まえた、新たな資本市場の原理的展開・段階論が模索されるべきである。

(稲富信博・記)

「プロジェクト・ファイナンスについて」
 プロジェクト・ファイナンスは、変動相場制の下で現れてきた新しい金融方式である。project finance internationalが、1994年以来発表しているデ-タによれば、このファイナンス方式の市場規模は、94年の176億ドルから99年には923億ドルと、5.2倍に増加している。1972年にブリティシュ・ペトロ-リアム社の北海油田開発、86年の英仏間のユ-ロ・トンネル開設のため、プロジェクト・ファイナンスの方式が新たに用いられた。90年代には、欧州・米国だけでなく、東アジア、中南米、中近東、東欧の国々において、電信、鉄道、道路、空港などのインフラストラクチャ-建設の海外からの資本調達のためこの金融方式が用いられた。
 では、プロジェクト・ファイナンスは通常の貸付とどう違うのであろうか。この新金融方式では、事業主体あるいは複数の企業からなる合弁事業主体がスポンサ-・親企業となり、新しいプロジェクト企業体を出資によって設立する。このプロジェクト企業体が借手となり、貸手である銀行との間にプロジェクト・ファイナンス契約が取り結ばれる。
(a)親企業は貸手銀行に対する担保を設定しない。通常の貸付であれば事業主体の親企業は担保を設定するが、プロジェクト・ファイナンス方式では担保は設定しない。プロジェクト企業体だけが担保を設定する。貸手銀行が開いた銀行へのエスクロ-勘定(信託勘定)へのプロジェクト企業体からのキャッシュ・フロ-とその資産への担保の設定である。(b)プロジェクト・ファイナンスに伴うリスクの分散配分。銀行は自行への貸付金の円滑な返済に多くのリスクが集中すると予測されると、貸付には進めない。そこでプロジェクトに関連するリスクの全体に関してスポンサ-、プロジェクト企業体の当事者の外に、保険会社、政府(原料の供給の保証、貿易保険)、建設会社(工事完成保証)、製品購入者(製品の引取り契約)などの第三者の信用力が利用されている。
 スポンサ-の資産に対して担保を設定していない貸手銀行は、プロジェクト企業体が支払不能となっても、債務支払を請求できない。このノン・リコ-ス状態は通常ではあり得ない。実際には、スポンサ-は、借入金の元本返済保証、建設期間中のコスト・オ-バランにさいする資本金・劣後貸金のかたちで資金提供約束を与えている。これはリミテッド・リコ-スといわれている。
 プロジェクト・ファイナンスは、変動相場制のもとで、世界的な成長から停滞・不況の段階に展開し、そしてサッチャー首相、レ-ガン大統領の競争と民営化の政策によって押し進められたのである。

(深町郁彌・記)

1.第134回総会(2000年10月31日~11月1日)

(1)第18期活動計画の決定について

 わが国に停滞をもたらしている制度、組織等の諸装置の刷新および人類が直面している問題群の解決に学術の果たすべき責務がきわめて大きく、その解決策を提案するためには、学術の社会的貢献のあり方および学術そのものについての抜本的検討が必要であるという認識のもとに、次の二つの課題に取り組むことを決めた。(1)人類的課題解決のための日本の計画の提案、(2)学術の状況並びに学術と社会との関係に依拠する新しい学術体系の提案。

(2)特別委員会の設置について

 会則で設置が決められている6つの常置委員会の他、次の7つの特別委員会を設置することを決めた。(1)価値観の転換と新しいライフスタイル、(2)ジェンダー問題の多角的検討、(3)ヒューマン・セキュリティの構築、(4)情報技術革新と経済・社会、(5)循環型社会、(6)生命科学の全体像と生命倫理、(7)教育体系の再構築。
 これらの結果、本学会推薦の鶴田会員の所属は次の通り。
 学術と社会常置委員会、ジェンダー問題の多角的検討特別委員会、経済理論研究連絡委員会、平和問題研究連絡委員会、新しい学術体系委員会。

2.第18期第1回経済理論研究連絡委員会(2000年11月17日)

(1)委員長および幹事互選について

 委員長に鈴村興太郎委員(一橋大学)、幹事に鶴田満彦委員(中央大学)および神谷和也委員(東京大学)を互選した。

(2)2002年度科学研究費補助金審査委員の推薦について

 前期からの「申し合わせ」にもとづいて、第1段審査委員6名については、日本経済学会2、経済理論学会1、経済学史学会1のほか、社会思想史学会1および応用地域学会1に配分することとした。田2段審査委員2名は、日本経済学会1、経済理論学会1。

(3)第18期の活動について

 前期からの「申し送り」にしたがって、シンポジウムを開催するため、企画担当の小委員に神谷和也、増田寿男(法政大学)、千賀重義(横浜市大)の3委員を選出した。

3.第18期第2回経済理論研究連絡委員会(2001年1月12日)

(1)シンポジウムの開催について

 神谷委員より、小委員会で検討した結果、2001年度に開催予定のシンポジウムのテーマは、「市場経済とit革命」としたいという提案があり、これを承認した。

4.経済理論研連と構成学協会との連絡協議会(2001年1月12日)

(1)2002年度科研費補助金審査委員候補者の推薦手続きについて

 標記について鈴村委員長より手続きと日程について説明があった。
(2)学術体制常置委員会科研費ワーキング・グループの活動について
 科研費申請・審査の際のカテゴリー区分が、従来の「部・分野・分科・細目」から新たに「系・分野・分科・細目」に再編成する案が検討中であること、および経済学分野には、従来は細目はなかったが、新たにいくつかの分科について細目設定が検討されていることが説明され、これらをめぐって意見の交換がなされた。

5.第3部会 (2月15日)

(1)2002年度科研費補助金分科細目対応研究連絡委員会について

 標記について報告があった。経済学関係で変更があったのは、分科「経済政策(含む経済事情)」の対応研連が、従来の経済政策研連のみから、経済政策および国際経済の2研連になったことである。

(2)2001年度国際会議代表派遣実施計画について

 標記について、第3部関係11件を決定した。そのうち経済理論研連関系は、経済学史学会(6/29?7/2)とアメリカ不動産都市経済学会(2002.1/4?1/6)の2件。なお2000年度追加分2件も追認された。そのうち、経済理論研連関系は鶴田会員が参加した「第3回グローバル化と開発問題に関する経済学者国際会議」(1/29?2/2)である。

6.第135回総会 (2001年4月25日~4月26日)

(1)会議の公開の規則改正について

 情報公開法の4月1日施行に対応して、日本学術会議の総会、運営審議会、部会、委員会等の会議を原則として公開するように関連規則を改正をおこなった。

(2)特別委員会等の設置の承認について

 農林水産大臣からの諮問に対応して、運営審議会の議決によってあらたに農業・森林の多面的機能に関する特別委員会を設置していたが、これを総会として承認した。同じく、日本の計画委員会、新しい学術体系委員会、日本学術会議の在り方に関する委員会、第18期評価委員会も承認した。

(3)「21世紀における人文・社会科学の役割とその重要性-「科学技術の新しい捉え方、そして日本の新しい社会・文化システムを目指して」-」(声明)の採択について

 省庁再編のもとでの日本学術会議の位置づけは、新設の総合科学技術会議において検討されているが、そこでは人文・社会科学のあり方も含めて検討されることになるため、日本学術会議として、主体的に人文・社会科学の役割に関する標記声明を採択し、政府および世論にアピールすることとした。要点の次の通り。
 (1)学術の総合・融合を通じて、科学技術と社会との望ましい関係を切り拓く
 (2)科学技術概念を人文・社会科学へ拡張し、諸科学の調和のとれた発展を目指す
 (3)科学技術総合戦略を束ねる「かなめ」として人文・社会科学を位置づける
 (4)科学技術基本計画の運用にあたっては、人文・社会科学の役割を位置づけ直す

7.第18期第3回経済理論研究連絡委員会 (5月18日)

(1)2002年度科研費審査委員の推薦について

 第1回委員会での申し合わせにもとづき、関係学会から推薦されてきた候補者について、日本学術会議第4常置委員会に推薦することを決定した。

(2)シンポジウムの開催について

 第1回委員会において開催が決定されたシンポジウム「市場経済とit革命」は、2001年12月2日(日)午後、東京大学経済学部において開催することとした。パネリストは、岩井克人氏(東京大学)、野口宏氏(関西大学)、国領氏(慶応義塾大学)の3名。

(鶴田満彦・記)


 本学会の創立大会が開かれたのは1959年5月10日法政大学58年館であった。当日の出席者は約300名。ここにいたるまでに前年の夏(7月19日)以降6回の会合(年末までに世話人会5回、翌年4月20日発起人総会)がその都度世話人の数を増やしながら重ねられた。設立準備にあたって、世話人の拡大、会則や運営方針をめぐる討議において推進役としての役割を果たされたのは、林要、渡辺佐平、楫西光速、守屋典郎、小林義雄、越村信三郎、遊部久藏、三宅義夫、大島清、野々村一雄、石原忠男、岩尾裕純、松尾憲橘の諸氏であり、事務を担当されたのが古川哲氏であった。
 私は、当時立教大学講師であったが、三宅先生と『経済学批判』輪読会などを通じてたいへん親しくお付き合いさせていただいて、マルクス経済学を基礎としながらそれぞれの専門分野での研究を進めている研究者の交流の場としての学会結成への動きが煮詰まっていることもお聞きしていたし、私自身前々からそういう学会の必要性を強く感じてもいたので、学会設立に関する事務の一端の手伝いという先生からの依頼をお引き受けし、第5回目の世話人会から当時院生であった大谷禎之介氏とともに出席することになったのであった。
 創立大会は、林氏の経過報告、三宅氏の会則案説明と審議、役員選出などが行なわれたが、とりわけ活発な論議を呼んだのは、世話人会においてと同様、会の名称と目的をめぐってであった。前者については既存の理論経済学会との対比で、カレーライスか、ライスカレーか、まぎらわしい、政治経済学会、マルクス経済学会とすべし、という修正提議も出たが、結局両者ともに原案どおりに決まることになった。役員は議長団から2名、世話人会から2名、それと会場の発言者から成る選考委員会がつくられ、そこでの議論のすえ、代表幹事に大内兵衛氏、大学や地方別を考慮した幹事33名、会計監事2名が選出された(「経済理論学会報」第1号、1959年8月、は大会についての報告である)。議事終了後、学会最初の研究報告会(「現代資本主義論について」、報告者、北田芳治、討論者、小椋広勝、長洲一二。「最近の価値論の問題について」、報告者、遊部久藏、討論者、大島雄一、時永淑)が行われ、当日の行事を通じて、本学会の基本的あり方、幹事選出の方針、報告会のもち方などの原型が打ち出されたのであった。
 第1回幹事会は、5月27日法政大学で開かれ、常任幹事(遊部、石原、楫西、守屋、野々村、武田隆夫、大島、三宅、服部英太郎、松井清、名和統一、馬場克三の諸氏)が選出され、常任幹事会のもとに置く事務局は、当分の間立教大学経済学部研究室内に置かれることになった。その結果、少しの間のお手伝いという軽い気持で当面の仕事を引き受けていた私が、乗りかかった船とはいえ、経済学分野できわめて重要な位置を占めることになるであろう本学会の事務局という重く煩雑な仕事を担う――しかも65年の東独留学期間を除いてその後1974年まで――羽目になってしまった。
 事務局としてまずしなければならなかった仕事は、会費の徴収と会員名簿の作成であった。早速振替口座を設け、創立にあたって「会員予定者」として氏名を提出された方に通知を出し7月末現在払込済の方々(422名)について名簿を作成した。「学会事務センター」ができて事務を委託するようになったのはかなり後のことであって、それまでは1000枚近い封筒の宛名書きをはじめ会費や名簿にかかわる事務処理にゼミの学生を動員しすべて手作業で運ばなければならないような状態であった。そういう学会運営には不可欠ではあるがムスケルアルバイトの類いの仕事とは違って、幹事会での議論の記録は常に興味をそそるものであった。マルクスの理論自体の独自性とその研究史のしからしめるところであるが、日本のマル経研究に際立つ幹事の方々の学派上・党派上の立場の違いと結束の強さが、共通論題の設定の際の捉え方や報告者・討論者の選定に関する発言の端々から窺われた。そして対立・説得・妥協をへて決定に至る諸氏のご意見から私は多くの貴重なことを学び得たように思われる。また、当時は安保や三池など学会の立場上見逃しえない出来事が発生すると、幹事会や年2回あった大会で当該問題に対する学会の統一見解――まとまるまでがなかなかたいへんであったが――を公表していたものであった。創立後間もなく45周年、ソ連・東独崩壊はもとよりこの学会をめぐる内外状況の変化はまことにめまぐるしい。学会活動を軌道に乗せ現在まで続く慣行を構築された当初の幹事の方々も亡くなられてしまっている。新代表幹事に大谷氏が就かれ、私としては隔世の感ひとしおである。□

(会員・立教大学名誉教授)

◆事務局から
 今年は経済理論学会創立42周年になります。事務局では、学会設立や初期の活動を担われた方々に当時の事情や出来事など、学会の歴史にかかわることどもを書き残しておいていただくように努めていくべきではないかと考えております。その第1弾として、初代事務局長として長きにわたって学会のために尽力された川鍋会員に、当時の思い出などについて書いてくださるようにお願いしました。タイトルは事務局がつけました。□

・今回リストアップする著作の期間は、1997年1月から2001年3月までです。したがって、発行年月がこの期間に属さない著作は掲載されておりません。
・前回(『経済理論学会ニュース』no.2、2000年7月発行)すでに掲載された著作は除外されています。
・記載順序は、著者、原著者、編者、編著者等の氏名について「あいうえお」順に並べるという方式を採用しています。  著者、編者等が複数の場合には、アンケートに記載された順序に従っています。なお、同一の著作が複数の会員から挙げられており、著者、編者等の記載順序が異なる場合については、申請されたもののうち、最初の記載者名が「あいうえお」順で最も先にくる 方の氏名にしたがって整理してあります。
・翻訳書は、同じ形式にそろえて記載されています。
・外国語で出版されたもので、著者名、編著者名等のなかに会員の氏名がある場合には、会員の氏名を基準に整理してあります。


あ:

アグリエッタ、m.『成長に反する金融システム-パファーマンスと今後の課題-』 (坂口明義訳)新評論、1998年2月。

芦田文夫『ロシア体制転換と経済学――文明央における市場化――』法律文化社、1999年5月。

芦田文夫・高木彰・岩田勝雄編『進化・複雑・制度の経済学』新評論、2000年2月。

姉歯暁『コルチェスター日記』野島出版、2000年。

阿部照男他著『情報の倫理――インターネット時代を生きる――』富士書店、2000年。

天野勝行・芳賀健一編『現代資本主義の現実分析--新しいパラダイムを求めて--』昭和堂、2000年5月。


い:

飯盛信男『経済再生とサービス産業』九州大学出版会、2001年1月。

飯盛信男『規制緩和とサービス産業』新日本出版社、1998年1月。

石橋貞男・奥山忠信・星野富一編『現代資本主義の原理』昭和堂、2000年5月。

伊藤武『マルクス再生産論研究』大月書店、2001年2月。

犬塚昭治・柘植徳雄・中林吉幸・菅野圭輔著『 土地を活かす英知と政策』農文協、1998年1月。

岩井浩・福島利夫・藤岡光夫編著『現代の労働・生活と統計』北海道大学図書刊行会、2000年6月。

岩田年浩『教授が変われば、大学は変わる』毎日新聞社、2000年11月。


う:

ウォルター・アダムス、ジェームス・w・ブロック著『アダム・スミス、モスクワへ行く――市場経済移行をめぐる対話劇――』(川端望訳)創風社、2000年12月。

海野八尋『日本経済はどこへ行く』花伝社、1997年1月。

海野八尋・佐藤良一・関根猪一郎・三宅忠和・和井田清司他著『新時代の経済学入門』実教出版、1998年4月。


え:

遠藤宏一『現代地域政策論』大月書店、1999年11月。


お:

大石高久『マルクス全体像の解明』八朔社、1997年3月。

oishi、takahisa, the unknown marx、pluto press、london、feb. 2001.

大阪市立大学経済研究所 森沢恵子・植田浩史編『グローバル競争とローカライゼーション』東京大学出版会、2000年4月。

大谷禎之介『図解社会経済学――資本主義とはどのような社会システムか――』桜井書店、2001年3月。

大西広・王持位他『第三届社会経済統計学国際検討会論文集』首都経済貿易大学出版社、2000年10月。

大西広・楊棟梁他『国際貨幣金融体系与東亜』天津人民出版社、2000年6月。

大西広『資本主義以前的「社会主義」与資本主義以后的社会主義』(閻慶悦訳)海南出版社、2000年10月。

大野節夫『社会経済学』大月書店、1998年9月。

大橋英五・小西一雄・齋藤正・平澤克彦・田村八十一『日本のビッグインダストリー 6   金融』大月書店、2001年。

小野・岡本武・溝端佐登史共編『ロシア経済』世界思想社、1998年。


か:

鹿児嶋他編『日中の産業・金融政策の比較』中央大学出版部、2000年5月。

梶井功編著『農業問題その外延と内包』農産漁村文化協会、1997年9月。

片桐昭泰他編著『財政学』税務経理協会、2001年3月。

加藤周一・井上ひさし・杉原四郎・一海知義『河上肇 21世紀にいきる思想』かもがわ出版、2000年10月。

上川孝夫他共編著『円の政治経済学』同文館、1997年。

上川孝夫他共著、“finance in the age of the coporate economy”、p.l.cottrell et al. eds.、ashgate pub.、uk、1997.

上川孝夫他共編著『通貨危機の政治経済学』日本経済評論社、2000年。

川辺平八郎共著、生越洋之助監修『今日の賃金――財界の戦略と矛盾』新日本出版社、2000年7月。

河村誠治『観光経済学の基礎』九州大学出版会、2000年11月。


き:

菊本義治・佐藤真人・中谷武司・佐藤良一『マクロ経済学』剄草書房、1999年10月。


く:

久野国夫・蔦川正義・阿部誠編著『ちょっとまて公共事業』大月書店、1999年9月。

栗木安延『アメリカ自動車産業の労働関係』改訂版、社会評論社、1999年4月。


け:

経済学史学会編『経済思想史辞典』丸善、2000年6月。


こ:

go、 tian kang(呉天降)、“american commercial banks in corporate finance 1929-1941--a study in banking concentration”、garland publishing co.、new york(taylor & francis group)、1999.

小山洋司編『東欧経済』世界思想社、1999年。

近藤文夫他編『21世紀のマーケティング戦略』ミネルヴァ書房、2001年。


さ:

埼玉自治体問題研究所『地方自治新時代と埼玉県政』自治体研究社、2000年。

齋藤重雄編著『現代サービス経済論』創風社、2001年。

酒井好郎『地域産業構造の展開と小作訴訟――岐阜県の実証分析1887年~1942年――』御茶の水書房、1998年。

坂本清編著『日本企業の生産システム』中央経済社、1998年12月。

佐々木洋共編著『ロシア極東の農業改革』御茶の水書房、2000年2月。

佐藤秀夫『国際経済の理論と現実』ミネルヴァ書房、2001年3月。


し:

篠田武司編著『スウェーデンの労働と産業』学文社、2001年3月。

篠田武司・浅野清編『21世紀の経済社会』八千代出版、20004月。

嶋田巧編著『グローバル経済のゆくえ』八千代出版、2000年5月。

嶋田巧共著『グローバル市場経済化の諸相』ミネルヴァ書房、2001年3月。

ジョージ、スーザン著『ルガノ秘密報告 グローバル市場経済生き残り戦略』(毛利良一監訳)、朝日新聞社、2000年12月。


す:

杉本俊朗監修『リカードウ全集 xi  総索引』雄松堂、1999年12月。


せ:

関根猪一郎・木村二郎・大畠重衛・小西一雄著『金融論』青木書店、2000年7月。


た:

X.Zang and Reijiro Takahashi eds.、China-Japan International Symposium、 Present Environmental Problem in Chinese Iron-Steel-Making Industry Effective Transfer of Japanese Technology、 Tohoku Univ. Press、2000.  

竹永進『リカード経済学研究――価値と貨幣の理論』御茶の水書房、2000年11月。


ち:

中央大学経済研究所編『現代資本主義と労働価値論』中央大学出版部、2000年9月。

中小商工業研究所編『現代日本の中小商工業-政策と国際比較編』新日本出版社、2000年。


つ:

鶴田満彦・渡辺俊彦編著『グローバル化のなかの現代国家』中央大学出版部、2000年、11月。


て:

テレ、ブルーノ著『租税国家のレギュラシオン』(神田修悦・中原隆幸・宇仁宏幸・須田文明共訳)、世界書院、2001年4月。


と:

東井正美・森岡孝二『政治経済学へのアプローチ』ミネルヴァ書房、2000年5月。


な:

中嶋信・橋本了一編『転換期の地域づくり』ナカニシヤ出版、1999年4月。

永谷清『資本主義の核心』世界書院、1997年12月。

中安定子編『論争・近未来の日本農業』農文協、1998年1月。


に:

西川潤編『社会開発--成長から人間中心型発展へ』有斐閣、1997年2月。

西沢保・服部正治・栗田啓子編著『経済政策思想史』有斐閣、1999年10月。

西原誠司『グローバリゼーションと現代の恐慌』文理閣、2000年6月。


の:

野口真共著『21世紀資本主義』御茶の水書房、2000年10月。


は:

狭田喜義『雇用問題の所在と対応』渓水社、2001年1月。

服部正治『自由と保護』ナカニシヤ出版、1999年4月。

服部正治・西沢保編著『イギリス100年の政治経済学』ミネルヴァ書房、1999年10月。

服部文男・佐藤金三郎編『資本論体系1 資本論の成立』有斐閣、2000年12月。

羽鳥敬彦編『グローバル経済』世界思想社、1999年。


ひ:

平石修『一般利潤率の傾向的低下の法則』北大図書刊行会、1997年12月。


ふ:

藤田整『大学に「卒業」は無用』人文書院、2000年11月。

降旗節雄・伊藤誠共編『マルクス理論の再構築』社会評論社、2000年3月。


へ:

ヴェブレン、t.著『ヴェブレン 経済的文明論』(松尾博訳)ミネルヴァ書房、1997年11月。


ほ:

星野富一・奥山忠信・石橋貞男編『資本主義の原理――新しいパラダイムを求めて――』 昭和堂、2000年5月。

Robert Boyer and Toshio Yamada eds. Japanese Capitalism in Crisis:A Regulationist Interpretation, Rowtledge、2000.5.


ま:

マジソン、アンガス著『世界経済の成長史 1820年~1992年』(金森久雄監訳)東洋経済新報社、2000年8月。

松尾匡『標準マクロ経済学――ミクロ的基礎・伸縮価格・市場均衡論で学ぶ』中央経済社、1999年11月。

松尾匡『近代の復権――マルクスの近代観からみた現代資本主義とアソシエーション』晃洋書房、2001年2月。

松崎昇『西洋発近代の論理』社会評論社、1998年3月。

松崎昇『日本が未来を拓く』文芸社、1999年7月。

松本有一『循環型社会の可能性』関西学院大学出版会、2000年6月。

丸井英二編『飢餓』ドメス出版、1999年12月。


み:

宮本憲一・小林昭・遠藤宏一編『セミナー現代地方財政』剄草書房、2000年9月。


む:

無産政党・労働運動分野編集執筆:『近代日本社会運動史人物大辞典』内外アソシエート、1997年。

宗像正幸・坂本清・貫隆夫編著『現代生産システム論』ミネルヴァ書房、2000年4月。


も:

毛利良一『グローバリゼーションとimf・世界銀行』大月書店、2001年2月。

望田幸男・碓井敏正編『グローバリゼーションと市民社会』文理閣、2000年11月。

元田厚生『経済学のパラダイム・チェンジ』創風社、1998年4月。


や:

山口重克『金融機構の理論の諸問題』御茶の水書房、2000年12月。

山口重克『商業資本論の諸問題』御茶の水書房、1998年11月。

山口重克・小野英祐・吉田暁・佐々木隆夫・春田素夫共著『現代の金融システム:理論と構造』東洋経済新報社、2001年3月。

山田博文『これならわかる金融経済――グローバル時代の日本経済入門』大月書店、2000年10月。

山本栄治編『アジア経済再生』日本貿易振興会、1999年。


ゆ:

唯物論研究協会編『新たな公共性を求めて』青木書店、2000年10月。

ユーラシア研究所編『情報総覧 現代のロシア』大空社、1998年。


よ:

吉田真広『国際収支と国際通貨』梓出版社、1997年10月。

萬井・脇田・伍賀編『規制緩和と労働者・労働規制』旬報社、2001年2月。


ら:

Russia and Japan;The Potential of The Regional Cooperation”,Russian Akademyof Sciences、Khabarovsk、2000

Lane , D.and Ross、c.著『ロシアのエリート』(溝端佐登史訳・解説)、窓社、2001年。

本会会員のための新しい情報源が生まれました

メーリング・リスト:jspe  開 設 !!

メールアドレスがあれば,簡単に参加できます

  このたび、2001年6月の幹事会の決定にもとづいて、本学会の公式のメーリング・リストを立ち上げました。
 本学会はすでに、インターネット上にホームページを置いています。これは、本会から発信した情報を不特定多数の方々に見ていただくものです。これにたいして、メーリング・リスト(以下、ml)とは、参加者がmlのアドレスに宛ててメールを発信すると、このメールがmlの全参加者のもとに届けられる、という通信システムです。参加者の氏名がリストとなっているのでメーリング・リストと呼ばれます。本学会のメーリング・リストのメール・アドレスは jspe@mlc.nifty.com ですので、メーリング・リストそのものを簡単にjspeと呼ぶことにします。
 具体的に説明しますと、jspe@mlc.nifty.com を宛先にしてメールを発信すれば、そのメールはjspeの参加者全員に自動的に配信されます。受け取ったメールに直接返信を出せば、この返信も、まったく同様にml参加者の全員に自動的に配信されます。これが基本的な仕組みです。
***メーリング・リスト:jspeのアドレスはその後変更されました。現在のjspeについてはこちらをご覧ください。2005年4月追記***
 メーリング・リストは、なにもポストされなければ無用の長物となります。じっさい、無用の長物となっているメーリング・リストがあちこちに見受けられます。しかしそれは、有効に使われるならば、参加者たちの不可欠の通信手段、情報源となります。
 もし、参加者の多くが公開の場で自由に討論する意志をもっている場合には、メーリング・リストは意見交換や議論が活発に行なわれる場として機能できるでしょう。しかし、メーリング・リストがそのようなものと機能するためには、参加者に公開討論の用意と意志とが必要で、多くのメーリング・リストではそれがないために休眠状態に陥っているようです。
 jspeでは、いずれは討論の場として役立つことを期待しつつも、当面はむしろ、これを情報交換の場として育てていきたいと思います。それでは、jspeでどのような情報が流すことができるか、だからまた参加者がどのような情報を入手できるかについて、例示してみましょう。

I. 経済理論学会の活動に関するもの
 (1) 経済理論学会大会、部会例会、学会の主催・共催するシンポジウムなどの案内
 (2) 経済理論学会の幹事会、各種委員会、事務局から会員への各種のお知らせ、アピールなど
II. 各種研究会の案内
    経済理論学会の会員が自由に参加できる開かれた研究会の案内・企画・参加募集を歓迎します。新しい研究会の設立の呼びかけなどにも使ってください。これは、経済学史学会のshetできわめて有効に機能しているitemの一つです。
III. 国際交流に関するもの
 幹事会のなかに設けられた国際交流小委員会からもポストしますが、それ以外にも、お気づきのものがあれば自由にご発信ください。たとえば、世界の学会情報(internetで見つけた情報や海外学会参加報告など)や各国の研究事情(外国でのメールの使い方、外国の大学や資料の状況、飛行機・宿・入国手続き)など、気づかれたことをご自由に。また、外国人学者の来日に関する情報は発信者にとっても受信者にとってもきわめて有用でしょう。ぜひともポストしてください。
IV. メンバーの研究の紹介
 自分の研究を紹介して研究交流を呼びかけたり、Discussion Paperの希望者への配布を紹介したり、論文や著書をprしたりするのも自由です。ただし、長文のペーパーの現物をメールとして発信すると、それが不要な参加者に受信の負担を負わせることになりますから、本体を送るのは避けて、送付希望者を募るようにしたほうがいいでしょう。
V. ディスカッション
 このmlを通じて、意見を求めたり、問題を提起したりすることもできます。ただし、公開の場での議論となりますから、全参加者が読んでいることを知ったうえでポストしてください。
VI. ヘルプ
 前項に書いたように、この ml を通じてディスカッスするのはなかなか難しいでしょうが、なにか知りたいことで、答えられる人がいそうなことを、「教えてください」と質問すると、返事をもらえる可能性がかなりあると思います。たとえば、引用の出典、文献についての疑問や、通信トラブル、データベース、コンピュータなどについての質問もできるでしょう。また、共同研究の参加者や共同執筆者・翻訳者・実験者を求めることも考えられます。Call for Papers(雑誌の特集号、共著、シンポジウムの参加者など)はmlの有効な使い道でしょう。
VII. 人事・奨学金など
 一般に公表が可能な人事募集や、ビジター、研究員、留学、奨学金、研究ファンドなどにかんする情報もお寄せください。ただし、ポストされたメールは事実上、完全公開となりますので、その点に十分ご配慮ください。
VIII. 研究資料など(学術資料発見、購入、オンライン・テクスト案内、データ・ベース案内、ホーム・ページ、他のml)についての情報をお寄せください。
IX. 管理者の方からもjspe自身についての各種情報を流します。参加者の皆さんからのmlの運営についての意見や提案も歓迎します。

 このような情報がたえず飛び込んでくるのを煩わしいことと感じられる方もあるかもしれませんが、要らない情報はただちに廃棄すればいいのです。しかし、思いがけない貴重な情報を入手できることもあるにちがいありません。

 金に一般的等価物という形態規定を与えるのが商品世界に登場するすべての商品であるように、jspeに経済理論学会会員にとってなくてはならない不可欠な通信媒体という形態規定を与えるのは参加者の皆さんです。市場に登場する商品が増えれば増えるほど、それだけよりよく金が一般的社会的富の代表者として機能するように、jspeの参加会員が増えれば増えるほど、それだけjspeは参加者にとって役に立つものになっていきます。メール・アドレスをおもちの会員はぜひともすぐにご登録ください。また、まだアドレスをおもちでない会員は、このさい、インターネットでメールを始められてはいかがでしょうか。
 会員の皆さんの積極的な参加と多数の発信を期待しています。

[経済理論学会の会員がこのメーリング・リストに参加する方法については,このあとの「メーリング・リスト(jspe)へのお誘い」をご覧ください。]

(2001年7月10日、管理者:大谷禎之介)

*     *     *

●メーリング・リストの管理者を募集します

 幹事会の決定にもとづいて、とりあえず本部事務局がメーリング・リストを立ち上げました。当面は大谷禎之介が管理の仕事に当たります。この管理には多少の手間がかかりますし、技術的な知識をもっていたほうが容易に管理作業をすることができます。本学会の会員のなかには、こういう仕事をこなすことは一向に苦痛でない、という方もおられるにちがいありません。どなたか、このメーリング・リストの面倒をみてやってくださいませんか。手伝ってもいいという方がいらっしゃいましたら、ぜひとも本部事務局にご連絡ください。

(本部事務局)


経済理論学会ニュース no.3

編集発行: 経済理論学会  発行責任者: 大谷禎之介

本部事務局:
〒193-0298 東京都町田市相原町4342、法政大学経済学部佐藤良一研究室気付
 Phone: 042-783-2517 Fax 042-783-2611 (学部資料室) 
 Phone: 042-783-2538 


メーリング・リスト(jspe)へのお誘い

 ここでは,このmlに参加するための最も簡単で確実な方法をご紹介します。

 手続きはきわめて簡単です。管理者のアドレスに,氏名と所属jspeの送受信に使うメールアドレスを記して「参加する」というメールを送るだけで,あとはなにもする必要がありません。管理者のもとで,会員であることが確認できたら,すぐにリストに登録します。登録が終わると,参加歓迎のご挨拶とml についての簡単な説明が行きます。あとはjspeに流れる情報がすべてお手許のアドレスに届くようになります。(なお,ご注意!登録したアドレス以外のアドレスでは送受信できません 。複数のアドレスで送受信したい方は,それらのアドレスのすべてを別個に登録してください。)

 2001年10月27日現在,312名の会員が参加していて,これまでもすでに,研究会の開催やCall For paperや秋の大会の講演者の紹介など,本学会関係のいろいろな情報や,経済学にかんするもろもろの情報が流れています。参加者が増えるとともに,情報を流す参加者も増えますので,当然に情報の質も量も向上するでしょう。そしてこのようなネット上での日常的な情報交換を通じて,経済理論学会そのものの存在感も大きくなっていくことでしょう。

 メールアドレスをおもちの方は,すぐにでも参加希望のメールをお送りください。まだアドレスをおもちでない方々も,この機会に,とりあえずはjspe の情報を入手するためだけにでも,インターネット・メールの利用を始められてはいかがでしょうか。

 経済理論学会会員のjspeへのご参加を歓迎します。

(2001年10月27日,管理者:大谷禎之介)