経済理論学会ニュース No.2 (2000年7月)

本会は1959年に設立され,2000年1月現在約1000名の会員を擁しています。この間,本会 は経済学の総合学会として,経済学の基礎理論から現代資本主義の諸問題までの広範なテ ーマを多角的に取り上げてきました。しかし,21世紀の経済学の課題の大きさを考えると, 若い研究者をはじめとして新しい入会者を多数迎えて,本会をもっと大きくもり立ててい く必要があると痛感しています。経済学の専門分野を問わず一人でも多くの方が入会して 下さることをお待ちしています。
            2000年1月29日  経済理論学会幹事会

学会の特色
★経済学の総合学会として個別専門分野を超えて,経済学の基礎理論から現代資本主義の 諸問題までを広く研究し,討論することを目的にしています。
★マルクス経済学を経済学の大きな流れの一つに位置づけ,資本主義批判の精神を受け継 ぎます。
★経済学における理論と方法の多様性を尊重し,研究の自由で創造的な発展をめざします。
★社会的価値として民主主義,人権,環境,平和を重んじ,社会正義と社会進歩に貢献し ます。
★japan society of political economyとして共通の関心を有する世界の学会および研究 者と学術交流を進めます。

入会の資格と手続き
★大学院修士課程ないし博士前期課程修了か,それに準ずる研究業績のある人は入会でき ます。
★会員2名の推薦により幹事会に申し込みその承認を受けて下さい。

会費
★入会の年から所定の年会費(年額6,000円,大学院生は4,500円)を払って下さい。

会員の権利
★大会,部会研究会等に参加することができます。
★会報「経済理論学会ニュース」を受け取り,寄稿することができます。
★機関誌『経済理論学会年報』を受け取り,同誌に論文・書評等を投稿することができま す。
★役員を選出し,会員総会に出席し,会の運営に参画することができます。

関東部会研究会

日時:1999年7月6日4時~7時
場所:駒沢大学
報告者:ウィリアム・キャロル
テーマ:"Recent Globalization and Changing Structure of Corporate Capital"

 カナダのヴィクトリア大学(University of Victoria)教授ウィリアム・キングスレイ・ キャロル(William Kingsley Carroll)博士が1999年に初来日したのを機会に,経済理論 学会関東部会と駒沢大学経済学部との共催のもと,7月6日,駒沢大学を会場として講演 と討論の場がもうけられました。論題は,"Recent Globalization and Changing Structure of Corporate Capital" と題するもので,現代資本主義においては,法人企業 群がどのような構造をつくって階級支配をおこなっているか,その全体像をあきらかにし ようとしたもので,概要は以下のようなものでした。
 第1に,しばしば「グローバル化」といわれる近年の現象について教授の見解がしめさ れました。それによると,「グローバル化」とは超帝国主義の別名だというのです。それ は,巨大法人企業が世界規模で支配するようになった結果,1970年代以降,帝国主義が新 しい段階に突入したことによって生じました。その特徴は,ホッブズ型諸国家が対抗しあ う古典的帝国主義とは対照的で,超国家的機関が支配する点にあります。現在の地点から 見れば,アメリカという単一の強大な国家がリーダーシップをとっていた「パックス・ア メリカーナ」は,古典的帝国主義から超帝国主義への過渡期でした。今日のg8やwto など超国家機関の存在している姿は,かつてカウツキーが予見していた世界と近似してい ます。しかも対抗しうる強大な社会主義国も存在しません。そこでは,中核諸国と周辺諸 国の入れ替えや再編もおこっています。
 第2に,そのような超帝国主義の時代を特徴づけるふたつの動向について提示されまし た。ひとつは,この時代に支配的になるイデオロギーが新自由主義だということ。それは パックス・アメリカーナの時代を特徴づけていたケインズ型の政策にとってかわるもので, こんにち各国の一連の規制緩和の政策となってあらわれています。もうひとつは,コーポ リット・ガヴァナンスの運動で,法人企業が自律的な規範をつくっていこうとするもので す。これら両者とも,市場指向型経済のなかで法人企業が蓄積を展開するための枠組みを 用意するものとなっています。
 第3に,これらの動向のなかで,金融資本の再編が進行していること。カナダでは,超 帝国主義の時代になってから,銀行と産業との直接的関係はむしろ希薄になってきました が,それは金融資本の支配力低下を意味しているわけではありません。一方では国境をこ えた法人企業間での株式の相互保有が進展し,他方では金融機関どうしが競争と統合をす すめユニヴァーサル化が進行していること,そして,そのような産業企業と金融機関がグ ローバルに連携してきていること,それが再編の内容です。
 超帝国主義は,資本主義的発展の最高の段階です。それは労働運動を根底からほりくず してしまいました。しかし,それにもかかわらず,自然を破壊し,世界各地で紛争をひき おこしながら,自然と人間を支配している超帝国主義は,必然的に平和運動や労働運動や エコロジー運動を喚起し,それらの運動の連帯をせまらずにはすまされないでしょう。

 以上が講演の概要でした。この講演と討論の会では,本学会会員のほか,駒沢大学の教 員,大学院生,学生,職員,そしてそれ以外にもこのテーマに関心をよせる一般市民ら, あわせて約50人の参加を得て,大盛会でした。キャロル教授の講演は約1時間,そのあと 瀬戸岡の司会のもと,討論が1時間半おこなわれました。さらに討論のあと,キャロル教 授をかこんで会食もおこなわれ,そこにも十数人が参加し,講演の開始から通算すると約 6時間にわたる交歓がおこなわれました。講演,討論,会食時の会話のすべてに通訳をつ けずに,直接英語で語りあう方式をとりましたが,会場はつねに熱気にあふれており,大 成功のもとにおわりました。
 なお,キャロル教授の講演のマニュスクリプトの全文の日本語版(瀬戸岡訳)は,『駒 沢大学経済学論集』第31巻第3号(1999年刊)におさめられています。

瀬戸岡 紘(駒沢大学)記

東海部会研究会

第1回は99年7月10日(土),午後2時~午後6時まで,県外では初めて岐阜経済大学1号 館3階第2会議室にて,下記の報告者によってなされた。出席者は約20名で報告後活発な 議論がなされた。
1. 毛利良一氏(日本福祉大学)「アジア経済再生への模索―― imf・世銀支援による経済改革の功罪」
2.岡田洋司氏(愛知学泉大学)「大正デモクラシー下の"地域振興"」

1.毛利良一氏
「アジア経済再生への模索――imf・世銀支援による経済改革の功罪」
1997年夏以降タイに始まった通貨・金融危機は,他のアジア諸国およびロシア,南米にも 伝染して,世界的な通貨危機および政治・社会危機に発展した。金融グローバル化のなか で「東アジアの奇跡」の光の部分に吸引された巨額の国際短期資本は,タイのバブルと経 常収支赤字を見限って一挙に流出してアジアを危機に陥れ,「アジアモデル」の影の部分 (「仲間内資本主義」)を暴き出した。タイ,インドネシア,韓国に対して,imf(国際 通貨基金)が中心になってまとめた支援パッケージは,従来型の金融・財政緊縮政策によ って実体経済を悪化させるとともに,コンディショナリティとして1980年代以降世界銀行 (国際復興開発銀行)が取り組んできた構造調整政策,すなわち金融セクター改革を中核と して,政府・企業ガバナンス,国有企業の民営化,対外経済開放,労働市場の柔軟化と社 会セーフティネットの拡充など,同時実行を迫った。これらは透過性・説明責任を伴った 改革を進める反面,危機を契機にして,アジア経済を「アングロ・サクソンモデル」に改 造し,欧米資本参入の条件整備を促進するものといえる。

2岡田洋司氏
いわゆる〈大正デモクラシー〉の背後には,それと必ずしも意識が同一でない膨大な民衆 が存在している。そして,歴史認識のなかにそうした民衆の存在を組み込むことが,大正 デモクラシーからファシズムへと変転する歴史過程と"民衆"とのかかわりを内在的にとら えるために必要である。
 第一次世界大戦中から戦後にかけて愛知県碧海郡一帯で展開した,政治・社会運動によ らず,日常的な営為によって地域の振興をはかろうという動き(この報告では産業組合と 修養団を取り上げた)は,そうした広汎な民衆によって担われたものであった。こうした 地域振興の担い手たちは,一方では,現状打破の意欲をもち大正デモクラシーにも共感し ていた。しかし,他方では,国体論的価値意識を強くもっていた。そうした二面性が大正 デモクラシー状況下の地域における民衆の意識の本体である。そして,彼らの国体論的価 値意識につながれているという側面が,大正デモクラシーの解体に道を開くことになった のである。

 第2回は,'00年2月19日(土)午後1時~5時30分まで,中央大学会議棟小会議室にて,下 記の報告者によってなされた。出席者は約20名で報告後活発な議論がなされた。
1. 中西聡氏(名古屋大学)「文明開化と消費生活」
2.重田澄男氏(岐阜経済大学)「資本主義をみつけたのは誰か?」

1.中西聡氏
本報告では,幕末・維新期日本の文明開化が消費生活に与えた影響を実証的に検討するこ とを課題とした。その際都市と農村の地域間格差,各地域内での階層間格差の内実を解明 することに留意した。具体的には,地方への舶来品の普及を舶来品を扱ったと考えられる 小売商の分布により概観し,都市近郊地域・農村地域の地方有力資産家の消費生活を文明 開化関連の支出から検討した上で,それらを自作農の文明開化関連の支出と比較して考察 した。そして舶来品消費の普及が近代的交通網の形成と関係があること,資産家層の旅行 が舶来品消費の地方への普及の先駆的役割を果たした等の論点を指摘した。

2.重田澄男氏
「資本主義」という用語が使われたのは,ピエール・ルルーの『マルサスと経済学者たち』 (1848)からであるが,それは社会体制や経済制度を示すものではなかった。マルクスは, 基本的には「資本家的生産様式」という用語を使っているが,それは1859年以前には「市 民的生産様式」(フランス語では「ブルジョア的」)という用語を使っており,そのような 〈資本主義〉概念は1845-46年における唯物史観の確立のうえ1846-1847年にうち立てられ たものである。その後,シェフレやゾンバルトが「資本主義」という抽象名詞形でもって 近代社会の経済制度をとらえたが,そのことは社会の規定的要因を生産的基礎においてと らえたマルクスの〈資本主義〉概念の内容をゆがめることになった。
        

塚本隆敏(中京大学)記

関西部会研究会

日時:1999年7月17日 14:00~17:00
場所:神戸大学経済学部
報告者とテーマ:植村博恭氏(名古屋大学)
『社会経済システムの制度分析:マルクスとケインズを超えて』(名古屋大学出版会)
討論者:1. 越智泰樹氏(広島大学)
2. 北野正一(神戸商科大学)
報告要旨
『社会経済システムの制度分析-マルクスとケインズを超えて』は,マルクスとケインズ の理論が持つ可能性を発展させ,現代資本主義を制度理論的観点から分析することを目指 している。言いかえれば,本書の特徴は,広い「政治経済学の観点」,あるいは「社会理 論的な観点」から「制度の経済学」を構築することである。
 本書で,マルクスとケインズの理論的遺産が,どのようなかたちで受け継がれ発展が目 指されているか列挙すると次のようになる。
 マルクスの遺産:[1]資本主義を構造論的あるいは関係論的に把握したこと。[2]市場と生 産過程との構造的連関,さらには生産過程における権力関係を解明したこと。資本主義を 「二層構造」として理論的に把握したこと。[3]資本の循環的運動と再生産の把握を基礎に, 資本蓄積の長期的動態を分析したこと。
マルクスの問題点と本書の展開:[1]構造と主体と の相互規定関係の分析の不十分さ→本書では,「制度論的ミクロ・マクロ・ループ」論を 制度分析の基礎理論として展開。[2]「価値通りの交換」の仮定によって貨幣的生産が生み 出すダイナミズムの把握が不足→本書では,「制度としての貨幣」の認識に基づく不均衡 取引理論と資本循環論に基づく貨幣的生産理論を展開。労働価値説に基づく「搾取」理論 の代わりに,「剰余アプローチ」に基づきつつ,ビジネス・デモクラシー批判(カレツキ) や抗争交換理論(ボールズ)などを展開し,統合を目指す。[3]資本の循環運動と諸制度と の関連の分析,労使関係の制度化の分析が不足→本書では,資本循環への制度論的アプロ ーチ,賃労働関係の制度化,資本蓄積パターンの多様性の分析を試みている。以上の分析 を通じて,資本主義の多様性の問題にアプローチしている。
 ケインズの遺産:[1]「所有と経営の分離」を前提にした企業家,労働者,株主からなる 3階級モデル。[2]貨幣と実物の二分法あるいは中立的貨幣命題を否定。貨幣数量説を批判。 [3]「セー法則」を否定し「有効需要の原理」を確立。「非自発的失業」を理論化。
 ケインズの問題点と本書の展開:[1]貨幣のフローとしての側面とストックとしての側面 の統一的説明の不足→本書では,貨幣循環理論(信用貨幣の理論)と期待仮説に基づく利 子理論(「流動性選好論」の再解釈)との統一的説明を試みる。[2]「古典派の第一公準」 の受容は,「資本論争」においてポスト・ケインジアンに批判された→本書では,「イン フレーション・バリア」の枠組みを一般化することによって有効需要の原理と剰余アプロ ーチとを統合し,所得分配の分析を資本蓄積論のなかで展開。[3]『一般理論』の長期理論 化が必要→本書では,構造的カレツキ・カルドアモデルによって資本蓄積論を展開し,資 本蓄積パターンの多様性や累積的因果連関による資本蓄積の不可逆的変化の分析を試みて いる。
 以上の理解に基づき,「制度論的ミクロ・マクロ・ループ」と「調整の重層性」という 本書独自の概念を媒介として,金融システムから投資行動への規定力と賃労働関係から生 産性・所得分配への規定力との相互規定関係が生み出す動態として資本蓄積を説明し,さ らに金融システムと賃動労関係に関わる制度的多様性や制度進化の分析を試みている。 (植村博恭)

コメント1 越智泰樹
主にchap.0.1.2.6

最初に,本書全体の構成と重要な論点を簡単にまとめておこう。著者たちは,経済を「貨 幣・市場システムにおける資本の循環運動(chap.1.2)」と「賃労働関係(chap.3)」のサブ システムに分け,その両者が「企業」を結節点として相互に依存する体系と捉える。この 構図を「資本主義の構造的二層性」と呼び,2段階での調整過程(feed back system)であ る「構造的両立性」により経済の安定性が維持される。この調整のあり方によって「資本 蓄積のレジーム」は異なり,資本主義に「制度的多様性」が存在することになる(chap.4. 5)。さらに国際化など,資本蓄積に構造変化をもたらす要因が経済に与える影響を詳細に 分析している(chap.6)。
 私が本書を高く評価する点は,以下の通りである。制度のあり方と資本主義の多様性だけ でなく,内部組織理論,内生的貨幣供給,金融不安定仮説など,最前線の理論的問題を統 一的に取り込み,globalization,金融自由化,対外直接投資など,国内的・国際的な現 実の経済問題に積極的に立ち向かう姿勢である。その背後には,広範かつ周到な学説研究 があり,過去の研究を着実に踏襲した上で,新境地への開拓を指向する力強い決意を感じ る。
 コメントは,chap.0.1.2での貨幣の取り扱いについて行いたい。本書は,「制度論的ミ クロ・マクロ・ループ(p.18,図0-2)」にはじまり,首尾一貫して「個別主体は,社会な るもの(制度・貨幣など)との相互依存関係によって定義される。」ことを強調している。 ところが,こと「貨幣」については「『貨幣商品』説を排し,『貨幣存在』を前提にする (p.41 l.1)」という立場をとっている。言うまでもなく「貨幣」は,経済の構成員の合意 によって存在しうる「制度」そのものである。そして生産力の向上と取引の拡大に伴い, 「貨幣という制度」は,物品貨幣→金属貨幣→兌換銀行と紙幣→金本位制と中央銀行→不 換紙幣と管理通貨制度へと形をかえ,全面的交換を歴史上,徐々に実現してきた。このよ うに,貨幣そのものの存在を前提にすることはできない。
また,特にchap.2で「flowとしての貨幣=制度としての貨幣」と,「Stockとしての貨幣」 の区別を強調している。前者は,銀行が「信用創造」によって企業に投資資金を貸し付け ることを意味し,marxがとりあげた「販売なき購買」の問題と関わることである。最初に 経済に投入された投資資金をiとすると,労働者への資金還流は,ci , c2i, … のように 最終的に0となる(「貨幣的従属」)。ところが,資本家による資金回収は,(1-c)i + (1-c) ci + (1-c)c2i + … = iであり,借り入れ資金iを銀行に完済したうえで,相当額の物的 資本が手元に残る。このような資本主義のメカニズムは,強調してもしすぎはないが, 「flowとしての貨幣」という新しい概念を持ち出すメリットは感じられない。

コメント2 北野正一

 本書はタイトルどおり,制度とは何かを踏まえて,一つの社会経済が,その諸制度を接 合した構造のもとで,それによって制約された諸主体の行動が生み出す機能性によって元 の構造を維持・転換するというミクロ・マクロ・ループの動学によって再生産され発展す る態様を把握するための体系をめざしており,そのカバーする範囲とテーマの包括性は類 書を見ない。ここでは今後の展開のために次の3点を挙げる。

1) 機能分析の仕方: 経済システムを構造と機能に分けるとして,機能分析(再生産の 過程,動態,帰結など)について,資本蓄積をテーマとして18本からなる基本モデルを定 式化される。モデルの各構成要素は1930年代の停滞,戦後高度成長,stagflationなどの 歴史段階的な局面分析を基準として析出される。だが,ここには短期的な需給の不一致か ら長期的な労働生産性の上昇率までが変数として含まれており,包括的ではあるものの, 逆に分析不能に陥る。そこで,本書では分配率をパラメータとして稼働率で調整する場合 と,稼働率は一定(完全稼動)として分配率で調整する場合とに大別して,典型的なレジー ムを区分し,その動学を検討し比較する,という手法をとっている。構造と機能の相関分 析が代替的な制度や改革の効果を評価する重要な基準になるのであるから,問題に応じた 様々な局面別の,抽象度別のモデル分析が必要となるのであり,著者の努力に敬意を払う。 そこで,多面的で複雑な経済過程の諸分析を体系化するための視角が必要となる。筆者に は置塩が明別した短期(稼働率や価格の調整する需給一致)・中期(景気循環)・長期(循環 を貫く傾向運動)が理解しやすい。短期は現存の生産要素が一定の元での調整,中期は資 本ストックの変化と調整,長期は労働力や技術やニーズ更には制度などの構造変化の効果 を扱う,というように実態と対応させて整理できるからである。また,高須賀の競争論 (景気循環)と構造論(生産価格論等)の関連もつく。近経の一般均衡論は蓄積抜き,従って 構造変化の分析抜きの短期均衡を扱っている,と関連づけ,ひいてはこれを包摂すること もできる。

2) 企業を中心に据える  本書は現代経済の制度的・機能的な多様性を生み出す要, 貨幣的循環と賃労働関係の結節点の位置にあるものとして企業を捉え,契約論アプローチを内 在評価し,寡占企業の景気・成長への影響を扱っている。これは経済学と経営学とを統合 させる新しい重要な試みである。言いかえると,企業を,内部に階層構造を持ちつつ,外 部環境へ適応を迫られ,この二面を包摂した戦略的行動を繰り広げる主体として捉える。 そうすると,経済構造をミクロとマクロの2分法からメゾ=企業を含む3層構造からなる システムとして把握することが必要になる。過程分析はミクロ・マクロ・ループを越えて 更に複雑になり,従ってマルクスに端を発する経済をシステムとして捉える方法論自体の 展開も要請されることになる。だが,企業を柱として分析局面を限定した部分認識を豊富 にし,これらを統合させるならば,より現実的で体系性のある理論を期待できる。これに 成功したとき,政府の政策に限定されることなく,又市民としての経済学でもなく,企業 内で活躍する社会人の行動に直接に示唆を与えることができ,その結果,メゾに基礎付け られた経済改革を展望できよう。

3) 新自由主義批判の論点:集合行為  一般均衡論自体は一つの構造と機能を持った システムをなしている。だが問題は,その信奉者が計画の失敗の指摘に安住して現実を直 視せず,その機能性の良さを盲信するあまり,一般均衡論自体の構造の特徴や種差,従っ てその変化を分析しようとしない点にある。そこで,本書はその批判として,社会経済に 及ぶ制度の広さやその種差,そして制度変化を生み出す投資に焦点を当てている(剰余アプ ローチ)。評者はこれに追加して,その方法論的個人主義批判としての集合行為論の欠如を挙 げたい。確かに,マクロ・メゾ現象のミクロ的基礎を問い直す視点は重要であり,大きな 成果をあげたと思う。だが,こうした個人還元論の長所は同時にその方法論的な限界でも あり,これを明確に意識しないと欠点となる。この欠陥は経済活動に広く存在する共通性 の無視・軽視となる。公共部門はもちろん,労働組合,業界団体,地縁組織等の利益団体 による集合行為の無視,更には,自己の陣営の協調と相手の競争化による優位や支配の確 立などの力関係における非対称性(非対等性)の分析を妨げている。とりわけ,企業自体が それを構成する各個人に還元することのできない独自の主体である,すなわち企業は独自 のシステムなのである。経済活動の主要な担い手が企業である以上,個に還元できない独 自システムとしての企業の分析とその独自行動によって生み出されたマクロ過程,という 位置付けが必要である。本書の到達点と問題提起を踏まえ,その一層の展開を期待するも のである。

北野正一(神戸商科大学)記

西南部会研究会

西南部会第19回研究会。1999年7月17日(土)13:30~。九州大学経済学部大会議室。出席者,29名。
(1)「不完全競争市場における競争と協調」関野秀明(九州大学大学院生,現・下関市立大)。
司会・福留久大(九州大学)。
(2)「平成不況と恐慌回避策」古川正紀(九州国際大学)。
司会・川波洋一(九州大学)。
(3)「150年後から見た『宣言』の意義と基本問題」八尾信光(鹿児島経済大学,2000 年度鹿児島国際大学に改称)。
司会・久野国夫(九州大学)。
九州一円,山口,愛媛からの会員の参加で,3報告について討議した。以下に,各報告者 から寄せられた要旨を掲げる。

 [関野報告要旨]
 ロビンソンらの「不完全競争」の理論を批判したフル・コスト原則,「屈折需要曲線」 論,参入阻止価格論は,最適生産の否定,成長・市場占有極大化という多元的な競争諸態 様の確認という成果を得る一方,その相互関係は不明という課題を残した。参入阻止価格 論を生産価格論と接合した北原勇氏の「独占的市場構造」論は,「参入阻止価格成立と長 期共同利潤最大化」という需要一定状況の一面的強調による部門内競争分析の不充分さ, 競争諸態様変化の法則性の否定という問題を抱えている。アイクナーは,投資資金需要を 賄うための高利潤獲得とそのための高価格設定(市場喪失)が対立しつつ相互依存するこ とを重視し,シュタインドルは「内生的停滞」論において部門内諸資本の高利潤追求が生 産能力の増大と販売高成長との衝突,他資本淘汰に発展する法則性を確認した。そして, 『資本論』第3部の価格理論は,生産価格論と市場価値論という二つの「基準価格」論か ら高利潤追求と市場支配大量(占有極大)という対立しつつ相互依存する競争諸態様を解 明した。この理論はp.k.派に欠けている二元的な価格設定論を提供する。ここでの結論は, プライスリーダーが市場価値(参入障壁を利用した独占利潤を放棄し,資本自身の再生産 のための正常利潤のみ獲得できる価格)での販売で正常稼働率の下限を切る時点を境に, 価格設定法を協調的利潤追求から競争的淘汰へ質的転化させることである。

[古川報告要旨]
(1)なぜこんなにも長期にわたる不況(大不況)なのか。まず今回の不況を「大不況」 と規定する。財政・金融による景気政策によって,8ないし9年に及ぶ不況も年平均すれ ば0ないし1%程度の成長率で1930年代のように2桁マイナス成長率にもなっていな いし19世紀末イギリスの大不況のように20年にまで及んでいるわけでもない。しかし 制度的に様々の経済安定装置を備えている先進資本主義諸国において戦後どこにも発生し なかったほどの長期にわたる停滞=不況としての異常さは,戦後型という限定を付けなけ ねばならないとはいえ,大という形容詞を付けられるものと考える。ではなぜ不況になったのか。いくつもの理由が考えられるが特にその特徴を決定づけるものとして,1985年プラザ合意以来進行し続けた超円高の作用と先進国中最大の資産バブルとその崩壊の作用の2点を考えている。そういう意味で「平成大不況」は「二重の複合不況」である。
(2)なぜ恐慌にならなかったか。大別すると次の三つの理由によって日本経済全体を襲 うパニック的縮小再生産に歯止めがかけられたと思う。a.管理資本主義の定着。これは, 第二次世界大戦後の先進資本主義国に確立した制度的枠組み(1.大きな政府,2.管理 通貨制度)を十分に活用できた。b.アメリカ経済の1990年代の好況によって対米輸出が 急減しなかった。c.同時期のアジアの工業勃興によって資本財等の輸出が伸びた。

[八尾報告要旨]
 部会からの依頼に応じ,次のような報告をした。1848年に刊行された『共産党宣言』は, 地球資本主義論の先駆である。それは唯物弁証法的見地から近代社会を分析することによ って,資本主義社会の構造・特質・矛盾・発展傾向を極めて鋭くとらえた。
 だが,社会の矛盾がどのように現れ,いかにして解決されるかは,非常に様々である。 『宣言』が矛盾の累積を強調し階級闘争と革命的変革を絶対視したのは,当時の社会的・ 政治的情況の故である。資本賃労働関係の克服と商品生産システムの克服とは次元の異な る問題であるにもかかわらず,それらを一挙に解決すべしという方針を示したことも『宣 言』の問題点である。
 現実の資本主義は,その後の歴史の中で,社会運動と民主主義の発展,20世紀社会主 義のインパクトなどにより,大幅に修正され,混合経済体制に転化した。最近20年間に 進んだ情報化と国際化,グロ-バルな市場経済化と大競争が再び資本主義の原理・原則を 復興させつつあるが,それがどこまでも進行すると考えるのは間違いである。
 地球資本主義の発展に伴って様々な矛盾が噴出しつつある。それらについての認識や批 判が高まれば,それらを制御し克服するための制度・政策が創出され,これを補完する市 民の役割が増大していくのは当然であろう。

福留久大(九州大学)記

i 会員総会

1999年度の会員総会は10月16日(土),午後5時~5時40分まで,法政大学多摩キャンパス 経済学部棟102教室で開かれた。
(1)議長選出
 幹事会からの推薦により杉浦克己会員と八木紀一郎会員を議長に選出した。
(2)会務報告
 森岡孝二代表幹事から,[1]幹事会の活動,[2]『経済理論学会ニュース』第1号の発行, [3]第47回大会,[4]会員の動向,[5]第48回大会会場校(高知大学)について,それぞれ報告 がなされ了承された。
(3)『年報』編集委員会報告
 一井昭第36集編集委員長より第36集の作成結果について報告がなされた。また,増田寿 男第37集編集委員長より第37集の編集について報告がなされた。
(4)部会活動報告(前出「部会報告」欄参照)
(5)1998年度決算報告
 長谷川伸・会計担当幹事より,標記についての説明があり,近藤禎夫・山口孝両会計監 事の「適正に行われている」との監査報告を含めて,了承された。
(6)1999年度決算予想および2000年度予算案
長谷川伸・会計担当幹事より,標記についての説明と提案があり,了承された。
(7)日本学術会議報告(後出参照)

ii 『年報』

(1)『年報』第36集は1999年10月1日発行された。発行部数1460部,うち会員配布分およ び保管分は1060部,青木書店買い上げ分は400部(定価2800円,消費税を除く)。
(2)『年報』第37集の編集委員は次の7名が選任された(敬称略)。
増田寿男(編集委員長),河村哲二(事務局担当),関根猪一郎,大石雄爾,小西一雄, 中川 弘,北野正一
(3)『年報』の編集については,既報のように,第36集から次のような変更がなされた。
[1]部会報告・会務報告・日本学術会議報告などは『年報』から『経済理論学会ニュ ース』に移す。
[2]『年報』第36集からは,分科会報告を割愛し,「報告要旨集」には,できる限り 完成原稿を提出してもらう。
[3]『年報』には,共通論題論文,投稿論文,依頼論文(特別企画)などのほか,新たに書 評を掲載する。

iii 幹事会

1999年度幹事会は7回開催された。
(1)幹事会の体制について(後出参照)
 (2)名簿管理と会費徴収
会員の名簿管理と会費徴収事務会員の名簿管理と会費徴収事務について本部事務局を中心 に調査・検討し,組織体制上の不備を解消するとともに抜本的な改善を図ることになった。
(3)第48回大会について
2000年度第48回大会は,10月21日(土),22日(日)の両日,高知大学で開催すること に決定した。
共通論題については,今日のグローバリゼーションをめぐるイデオロギーと現実を,国民 経済と地域経済との軋轢,情報通信革命の影響,通貨・金融危機の続発などをふまえて考 察し,政治経済学の理論的視野から現代資本主義の変容を問うことを意図して,「グロ- バリゼーションの政治経済学」とすることになった。昨年度の共通論題は「1990年代資本 主義の危機と恐慌論」であったが,その際も「90年代資本主義の危機のグローバルな連関 を現状分析する」ことの必要が強調されていた。今日の巨大資本は,いわゆる「冷戦終結」 後の事態のなかで,旧「社会主義国」の「市場経済化」を国際活動の新たな展開の場に組 み込んで「グローバル化」をはかりつつ,世界をグローバルスタンダード」で再編するこ とによって,新たな活路を切り拓く動きを強めてきている。そういう意味でも,「グロ- バリゼーションの政治経済学」の討究は今日の焦眉の課題である。
また今年度は,20世紀最後の年に開かれる大会であることを意識して「20世紀のマルクス 主義」と,失業問題がかつてなく深刻化している状況をふまえて「今日の雇用失業問題」 の,2分科会を特設することになった。

iv 1999年度役員

幹事(左肩は担当を示す)
      有井行夫(駒沢大学)
      関根猪一郎(高知短期大学)
      一井 昭(中央大学)
      中川 弘(福島大学)
      今宮謙二(中央大学)
      中谷 武(神戸大学)
      井村喜代子(慶応大学名誉教授)
      長島誠一(東京経済大学)
名簿会費担当 海野八尋(金沢大学)
      平井規之(一橋大学)
      大石雄爾(駒沢大学)
      福留久大(九州大学)
      小幡道昭(東京大学)
      前畑憲子(立教大学)
      唐渡興宣(北海道大学)
      馬渡尚憲(東北大学)
      河村哲二(武蔵大学)
      増田寿男(法政大学)
      角田修一(立命館大学)
代表幹事  森岡孝二(関西大学)
      菊本義治(神戸商科大学)
       八木紀一部(京都大学)
      北原 勇(慶応大学名誉教授)
      山口重克(国士舘大学)
      小西一雄(立教大学)
      山田鋭夫(名古屋大学)
      重田澄男(岐阜経済大学)
      米田康彦(中央大学)
      柴垣和夫(武蔵大学)
本部事務局担当 長谷川伸(関西大学)*
国際交流担当 杉浦克己(帝京大学)
第47回大会担当 大谷禎之介(法政大学)
第48回大会担当 西野 勉(高知大学)
会計監事 近藤禎夫(駒沢大学)
      山口 孝(明治大学)
本学会推薦の日本学術会議会員  鶴田満彦(中央大学)
本学会推薦の日本学術会議経済理論研究連絡委員会委員  山田鋭夫(名古屋大学)
本学会推薦の日本経済学会連合評議委員 杉浦克己(帝京大学) 小幡道昭(東京大学)
*本部事務局担当幹事は,総会後,仲野組子(関西大学・非常勤)に交替

v 2000年度第48回大会

共通論題「グローバリゼーションの政治経済学」
会場:高知大学朝倉キャンパス共通教育棟
日程:2000年10月21日(土)・22日(日)
詳しくは「大会プログラム」を参照。

vi 会員の動向

1999年度における新入会者28名,退会者39名で,2000年3月末の会員数は984名である。 退会者のうちの物故会員は振津純雄,加藤佑治,中嶌太一,山口正之,中村氏方,五味健 吉,渡辺輝男の7名である。ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げる。なお,昨年の『経 済理論学会ニュース』no.1に「99年3月の会員総数は976名」とあったのは995名の誤りで あった。ここに訂正してお詫びする。

vii 会計報告

〔本web版では省略〕

鶴田満彦

1.第三部会(1999年7月1日~3日)
(1)第18期の登録申請を行った学術研究団体について
 5月末までに第18期の登録申請を行った学術研究団体のうち新規団体については,研連 委員長は,申請書類の閲覧を行うこととした。その後,経済理論研連に登録を受理された 新規学術研究団体は,経済学教育学会と基礎経済科学研究所の2団体であることが,公表 された。これによって,第18期の経済理論研連傘下の団体は9となる。
(2)日本学術会議自己改革案について
 吉川会長の「改革に向けての内部討議用ペーパー」(第2次案)と改革起草委員会の 「論点整理」を検討したが,「第2次案」は問題点が多すぎるので,「論点整理」を基礎 として自己改革案の集約をはかった方がいいという意見が多数であった。
2.経済理論研究連絡委員会(1999年9月27日)
(1)経済学系大学院問題に関する報告書の作成について
 3月19日の研連シンポジウム「経済学系大学院の現状と問題点」の報告と討論の記録を  公刊し,当委員会の報告書として,会員や傘下学会などに配布することとした。
3.第131回総会(1999年10月26日~10月27日)
(1)我が国の大学等における研究環境の改善について
 科学技術基本計画(1996-2000年)により研究費は増額されたにもかかわらず,建物・ 設備の更新・拡張がなされず,多くの大学等において超過密状態が続いている現状にかん がみ,物的研究環境の整備・改善を求める勧告を総理大臣宛てに行うことを決議した。 (2)「日本学術会議の自己改革について」および「日本学術会議の位置付けに関する見 解」という二つの声明を採択した。
(3)国立大学の独立法人化問題について討議し,この問題については拙速に結論を出す と取り返しのつかない禍根を残すおそれがあるので,多様な意見を十分に聴取したのちに 慎重にすすめることを求める会長談話を発表することを了承した。
4.経済理論研究連絡委員会(1999年12月6日)
(1)科学研究費補助金の分科「経済理論」の細目への分割について
 第4常置委員会より,科学研究費補助金審査のさいに,分科を細目に分割していない研 連に対して,数年先を目途として細目への分割を希望するかどうかのアンケートを行うと の報告があったので,経済理論研連として,分科「経済理論」をさらに2~3の細目に分割するかどうかを検討し,当面,分科「経済理論」を細目「経済理論」と「経済学史」とに分割し,併せて審査委員数の増大を要望する回答を行うこととした。
5.第4常置委委員会および研連投員合同会議(2000年1月6日)
 科学研究費補助金業務の学術振興会への移管,審査委員候補者選考における研連の責任  の明確化,科学研究費補助金を毎年5月には交付できるようにすること等のため,今年 度は,スケジュールを例年より早めて次のようにすることとした。3月末,各研連から関 係学会へ審査委員候補者の推薦依頼。4月末,関係学会から研連へ推薦者名簿を送付。  5月初~中旬,各研連で調整のうえ第4常置委員会へ候補者名簿(定員の2倍数)の回 答。6月中~下旬,第4常置委員会で検討して候補者名簿(案)を確定。7月中旬,学術 会議運営審議会で候補者名簿を承認,学術振興会へ回答。8~9月,学術振興会において 審査委員選考委員会を開催。選考の後,候補者に連絡,承諾,委嘱の手続き。10月,学術 振興会において2001年度科学研究費補助の応募を受付け。計画書等の締切り。11月~12月, 第1段(書類)審査。2001年2月~3月,第2段(合同)審査。4月,学術振興会から内 定通知。補助金交付申請書類作成・提出。5月,補助金交付決定・支払い。
6.連合部会(2000年2月17日)
(1)インターアカデミーパネル(iap)2000年会議について
 本年5月15日~18日に東京で開催されるインターアカデミーパネル(iap)について 説明がなされた。基調講演a.セン教授。人口/健康,食糧,水,エネルギー,消費,知 識/教育,総合の7つのセッション。最終日には,宣言が作成・発表される。 (2)特別委員会等からの報告について
 安全に関する緊急特別委員会,教育・環境問題特別委員会,女性科学者の環境改善の推 進特別委員会,化学研究連絡委員会から,それぞれ審議状況について報告があった。
7.第三部会(2000年2月17日)
(1)2000年度学術国際会議代表派遣について
 標記について,第三部関係として,9件を決定した。経済理論研連関係では,社会思想 史学会(国際歴史学会議)と比較経済体制学会(米国スラブ研究促進学会)の2件。
(2)科学研究費補助金の分科の細目への分割について
 標記についての第4常置委からのアンケートに対して,分割するとの回答があったのは, 第三部関係の研連8のうち3(経済理論・経済政策・経済史)だったので,第三部全体と して共同的対応ができるまで,しばらくペンディングとすることとした。

杉原 四郎
 
 私は昨年公刊した『ミル・マルクス・エンゲルス』(世界書院)の「あとがき」で,1957年 に公刊した『ミルとマルクス』(ミネルヴァ書房)の構成が『ミル・マルクス・エンゲルス』 に対応しており,その意味で本書は処女作に向って歩みつづけてきた私の所産であるとの べた。
  『ミル・マルクス』を公刊する7年まえに,私は薄い著書を一つ出している。それは京 都の三和書房から1950年5月に公刊した『経済学講義案』上であって,関西大学での講義 のテキストとして書いたものである。50年前の本書の「はしがき」で,私は「アダム・ス ミスの『国富論』とカール・マルクスの『資本論』とが経済学を学ぶものにとって,とく に経済の本質的構造とその基本的動向とをきわめんとするものにとって,くめどもつきぬ 教訓をあたへてくれる二大『古典』であることは,何人もほぼ異論のないところであろう。 私もこの偉大な二つの書物を基礎として講義を行ふ」とのべているのを読むと,私の経済 学研究がはじまった端緒を示すものはむしろこの『経済学講義案』上ではないかとも思わ れる。
 講義案はつぎのような構成になっている。
 前篇 経済の本質と発展
  第一章 労働過程
  第二章 再生産過程
  第三章 社会的再生産過程
  附録 『国富論』抄(英文)
 後篇 資本主義経済(下巻)
 私の講義案はその翌年(中)と(下)が出,1956年10月に(上)(中)(下)がまとまって『資本 主義経済論――昭和30年度経済学講義要領――』として公刊された。その内容の骨子はそ の後の研究で加筆された上,杉原四郎・佐藤金三郎編『マルクス経済学』(有斐閣,1966 年)のi「経済と経済学」,iii「マルクス経済学の基礎」となった。『ミルとマルクス』 を書いた頃の私の講義は,このような性格のものであった。それは『資本論』に学びなが ら,(1)資本主義経済の性格をつかむには,経済の本質とその発展の基本法則にてらして 理解することが重要であり,(2)マルクスの学説を経済学全体の流れの中でつかむことが大切であると考える立場であった。そしてこの立場は,『ミルとマルクス』全体に底流する,またその後今までの私の研究を一貫して支えてきた立場でもあったのである。 『ミル・マルクス・エンゲルス』のあとがきで私は,本書を著すに際して心掛けた点として,
 (1)この三者の関係を通じて,ミルとマルクス,マルクスとエンゲルスの共通点と相違 点の解明につとめ,
 (2)この三人の晩年の思想と行動に力点をおき,
 (3)現体制から新体制へと世界がどのような過渡期と移行期を経て変化してゆくかにつ いて三者がどのような展望をもっていたかをさぐり出す,
 という3点をあげ,『ミルとマルクス』に比してこのうちの(2)(3)により大きな比重が おかれていると指摘した。
 思想家の研究にとって,その人物の全生涯を視野におさめ,思想の成長・変遷をつぶさ に検討する必要のあることは言う迄もないが,とくにその晩年の研究は彼の全業績に対す る総括的評価を下すうえに極めて重要である。その人物の晩年が時代の過渡期に当たって いる――3人の晩年は1870-1890年代であった――場合はとりわけそうである。ところが 『ミルとマルクス』を書いたときには,ミルにもマルクスにも本格的な全集はなかった。 だが『ミル・マルクス・河上肇』(ミネルヴァ書房,1985年)のときは,すでにミルの本格 的な著作集もマルクス・エンゲルスの新全集も進行中であった。『ミル・マルクス・エン ゲルス』で私は,ミル著作集33巻(1963-91年)がやっと完結したこと,またマルクス・エ ンゲルスの新全集も,一時は旧全集と同様中絶と挫折の憂き目をみるのではと思われたが, 幸い新体制で続行されることになったことを記すことができた。ようやくミル・マルクス・ エンゲルスの共通点と相違点を十分な資料で検討することができるようになったわけであ る。今私は,近着の全集第四部(抜粋・ノート類)中の1巻である『マルクス・エンゲルス 蔵書索引』をひもときながら,19世紀末の欧米の新しい思潮の中で生み出されたミル・マ ルクス・エンゲルスに関する文献がマルクス・エンゲルスの著作『ノート』蔵書の書き入 れの中にどう反映しているかについての新しい多くの情報を得て,最後の研究の一端に触 れたよろこびを感じているところである。

会員著作リスト―1997年1月~2000年3月
(単行本,著者別あいうえお順)
会員著作アンケートにご協力いただき,ありがとうございました。この企画は本来,『経 済理論学会年報』の書評欄および大会書評分科会の充実を図る目的で実施したため,対象 著作を単行本のみに限定しました。そのため,アンケートでお寄せいただいた著作のうち, 紀要・雑誌等の逐次刊行物に掲載された論文等は割愛しました。また,表記の統一をはか るために最小限の修正を行いましたが,その他は原則として会員本人の申告をそのまま掲 載しています。刊行年につきましては,対象著作の範囲を1997年4月以降という限定を付 けておりましたが,単に「1997年」表記しているものが多数あったため,公平をはかる観 点から1997年1月以降に刊行された著作をすべて収録することにしました。

年報編集委員会

・相田慎一
丸山敬一編『民族問題―現代のアポリア―』ナカニシヤ出版,1997年5月(第1章「カウツキ―」執筆)。
相田慎一著『経済原論入門』ナカニシヤ出版,1999年。
相田慎一訳『カウツキ―・マルクス経済学説』丘書房,1999年。

・赤間道夫
八木紀一郎・山田鋭夫・千賀重義・野沢敏治編『復権する市民社会論-新しいソシエタル・パラダイム-』日本評論社,1998年8月。
池尾愛子編『日本の経済学と経済学者―戦後の研究環境と政策形成―』日本経済評論社,1999年1月。
大村泉・宮川彰編『新mega第ii部(『資本論』および準備労作)関連内外研究文献・マルクス/エンゲルス著作邦訳史集成』八朔社,1999年7月。

・秋山誠一
岩田勝雄編『21世紀の国際経済』新評論,1997年。

・阿部照男
阿部照男『日本経済にいま何が起きているのか』藤原書店,2000年3月。

・有田辰男
有田辰男『中小企業論―歴史・理論・政策―』新評論,1997年4月。

・池上 惇
池上惇『財政思想史』有斐閣,1999年7月。
池上惇・森岡孝二編『日本の経済システム』青木書店,1999年12月。

・石井啓雄
石井啓雄「オーストリアとスイスの山岳地域政策」,日本村落研究学会『村落社会研究34-山村再生21世紀への課題と展望』農山漁村文化協会,1998年10月。

・泉 俊弘
泉俊弘『「経済地域」の理論構造序説』西日本法規出版社,1999年。

・板谷晴夫
板谷晴夫『国際関係論i』愛知産業大学通信教育部,2000年3月。

・伊藤正純
中岡哲郎・竹中恵美子・熊沢誠監修『大阪社会労働運動史第7巻』財団法人大阪社会労働協会,1997年7月(「昭和50年代の大阪の教育」執筆)。
八木紀一郎・山田鋭夫ほか編著『復権する市民社会論』日本評論社,1998年8月(「階級社会としての市民社会」執筆)。

・伊藤 誠
伊藤誠『日本経済を考え直す』岩波書店,1998年11月。
(共著)北原勇・山田鋭夫『現代資本主義をどう視るか』青木書店,1997年6月。
(共著)Costas Lapavitsas, Political Economy of Money and Finance,New York:Macmillan, and St. Martin's Press,1999.
(共編)横川信治・野口真『進化する資本主義』日本評論社,1999年2月。
伊藤誠『現代資本主義のダイナミズム』御茶の水書房,1999年10月。

・稲富信博
稲富信博『イギリス資本市場の形成と機構』九州大学出版会,2000年2月。

・井上 宏
編著『21世紀の経営戦略』日本評論社,1998年。

・今東博文
今東博文『経済学原理の研究』御茶の水書房,1998年2月。

・井村喜代子
(共著)『資本論体系9-1,恐慌・産業循環(上)』有斐閣,1997年(「戦後産業循環の態様とその特質」執筆)。
井村喜代子『現代日本経済論,新版-戦後復興,「経済大国」,90年代大不況-』有斐閣,2000年。

・岩田健治
(共著)相沢幸悦編著,黒川洋行・林秀毅・岩田健治著『欧州通貨統合と金融・資本市場の変貌』日本評論社,1998年12月。
(共著)上川孝夫・藤田誠一・向壽一編著『現代国際金融論』有斐閣,1999年4月。
(共著)日本証券経済研究所「eu通貨統合と証券市場研究会」編『ユーロ導入と金融・証券市場』日本証券経済研究所,1999年5月。

・岩田年浩
岩田年浩著『経済学教育論の研究』関西大学出版部,1997年5月。
岩田年浩著『ダイナミック経済学』窓社,1999年4月。

・上島 武
上島武『ソ連史概説―私の社会主義経済論』窓社,1999年4月。

・宇仁宏幸
宇仁宏幸『構造変化と資本蓄積』有斐閣,1998年8月。
捧堅二・宇仁宏幸・高橋準二・田畑稔『21世紀入門-現代世界の転換にむかって』青木書店,1999年1月。

・海野 博
海野博『賃金の国際比較と労働問題』ミネルヴァ書房,1997年12月。

・梅垣邦胤
池上惇・森岡孝二編『日本の経済システム』青木書店,1999年12月(第8章「現代日本の資本と土地所有」執筆)。

・應和邦昭
共著『21世紀の国際経済』新評論,1997年。
共著『食料環境経済学入門』筑波書房,1998年。
共著『人と地球環境との調和』南窓社,1999年。
共編著『現代資本主義と農業再編の課題』御茶の水書房,1999年5月。

・大内秀明
大内秀明『東アジアの地域統合と日本経済』日本経済評論社,1998年10月。
大内秀明『知識社会の経済学―ポスト資本主義社会の構造改革』日本評論社,1999年12月。

・大久保亮治
大石雄爾編『労働価値論の挑戦』大月書店,2000年2月(「労働と所有」執筆)。

・大谷禎之介
チャトパディヤイ著,大谷禎之介・叶秋男・谷江幸雄・前畑憲子訳『ソ連国家資本主義論-マルクス理論とソ連の経験』大月書店,1999年4月。

・岡田光正
(共訳)バリバール/ウォーラーステイン『人権・国民・階級』大村書店,1997年3月6日。
(翻訳)j.s.ゴールドスティン『世界システムと長期波動論争』世界書院,1997年5月31日。

・岡林 茂
岡林茂『経済学という市場の読み方』ナカニシヤ出版,1999年3月。

・奥村 宏
奥村宏『21世紀の企業像』岩波書店,1997年6月。
奥村宏『無責任資本主義』東洋経済新報社,1998年12月。
奥村宏『大企業解体』ダイヤモンド社,1999年11月。

・奥山忠信
奥山忠信『富としての貨幣』名著出版,1999年5月。
中東経済研究会編『中東開発-和平の政治経済学』名著出版,1998年10月(第1,第3章執筆および編集)。

・郭 洋春
郭洋春『アジア経済論』中央経済社,1998年9月。
チョスドフスキー著,郭洋春訳『貧困の世界化』柘植書房新社,1999年5月。
郭洋春『韓国経済の実相』柘植書房新社,1999年9月。

・影山摩子弥
経済理論学会編『経済学のフロンティア』青木書店,1998年10月(「社会福祉と『労働の経済学』執筆)。

・片桐昭泰
片桐昭泰・兼村高文・星野泉編著『地方財政論』税務経理協会,2000年2月1日。

・加藤光一
加藤光一著『韓国経済発展と小農の位相』日本経済評論社,1998年9月。

・金子 甫
金子甫著『経済学的自然観の歴史―土地と労働の学説史の分析』文眞堂,1997年2月。

・金子ハルオ
金子ハルオ『サービス論研究』創風社,1998年8月。

・鎌倉孝夫
鎌倉孝夫著『世界経済危機の構造』長岡新聞社,1998年2月。
鎌倉孝夫・中村健三著『「広松哲学」の解剖』社会評論社,1999年5月。
鎌倉孝夫著『究極の"擬制"経済-世界金融恐慌の危機』長岡新聞社,1999年7月。

・鎌田武治
鎌田武治『市場経済と協働社会思想』未来社,2000年。

・川辺平八郎
(共著)牧野富夫監修『財界新戦略と賃金』新日本出版社,1997年3月。
(共著)永山武夫編著『新版・労働経済』ミネルヴァ書房,2000年3月。

・河村哲二
河村哲二『第二次大戦期アメリカ戦時経済の研究』御茶の水書房,1998年。

・北原 勇
北原勇・伊藤誠・山田鋭夫『現代資本主義をどう視るか』青木書店,1997年。

・儀我壮一郎
儀我壮一郎『薬の支配者』新日本出版社,2000年1月。

・久野重明
久野重明『施設型農業の展開』愛知大学中部地方産業研究所,1999年9月。

・小牧聖徳
小牧聖徳著『金融経済の研究マクロとミクロからのアプローチ』ミネルヴァ書房,1997年8月。

・小松 聰
降旗節雄編『世界経済の読み方』御茶の水書房,1997年3月。

・後藤康夫
(共著)富塚良三・吉原泰助編『資本論体系第9-1巻恐慌・産業循環(上)』有斐閣,1997年12月。
(共著)産業構造研究会編『現代日本産業の構造と動態』新日本出版社,2000年3月。
・坂本忠次
(共著)坂本忠次ほか編『分権時代の福祉財政』敬文堂,1999年6月。
(共著)坂本忠次ほか編『分権化と地域経済』ナカニシヤ出版,1999年11月。

・坂脇昭吉
坂脇昭吉・中原弘二編著『現代日本の社会保障』ミネルヴァ書房,1997年8月。
小谷正守ほか編著『エコノミックス事始め』ミネルヴァ書房,1999年9月(第19章「社会保障制度の課題と展望」執筆)。

・佐藤滋正
佐藤滋正『「土地」と「地代」の経済学的研究』時潮社,1998年5月。

・佐中忠司
(共著)経済学教育学会編『大学の授業をつくる-発想と技法』青木書店,1998年。
佐中忠司『英国電気通信事業成立史論』大月書店,1999年。

・沢田幸治
沢田幸治・増田壽男編著『現代経済と経済学』有斐閣,1997年。
沢田幸治『再生産論と現状分析』白桃書房,1999年。
(共著)産業構造研究会編『現代日本産業の構造と動態』新日本出版社,2000年(補論「90年代における日本農業の動態」執筆)。

・柴垣和夫
柴垣和夫『現代資本主義の論理』日本経済評論社,1997年2月。

・渋井康弘
(共著)小林康助編著『現代経営学序説』同文館,1997年10月(第8章担当)。
(共著)産業構造研究会編『現代日本産業の構造と動態』新日本出版社,2000年3月(第ii部第1章担当)。

・清水 徹
清水徹『金融とインフレの経済学』創造書房,1997年9月20日。

・清水嘉治
清水嘉治『改革の経済思想-j.a.ホブスン研究序説-』白桃書房,1998年。
清水嘉治『激動する世界経済-21世紀の重要課題-』新評論,2000年3月。

・下平尾勲
下平尾勲著『地場産業』新評論,1997年10月。
下平尾勲著『現代地域論』八朔社,1998年7月。
下平尾勲著『信用制度の経済学』新評論,1999年3月。

・下山房雄
下山房雄『現代世界と労働運動―日本とフランス―』御茶の水書房,1997年1月。
大須賀哲夫・下山房雄『労働時間短縮―その構造と理論』御茶の水書房,1998年7月。
下山房雄ほか編『現代の交通と交通労働』御茶の水書房,1999年1月。
・新藤道弘
新藤道弘『現代キューバ経済史』大村書店,2000年3月。

・杉原四郎
杉原四郎・一海知義編,河上肇著『自叙伝』4,5,岩波文庫,1997年。
杉原四郎・山下重一編『j.s.ミル初期著作集』4,御茶の書
房,1997年1月。
S. Sugihara and T. Tanaka eds.,Economic Thought and Modernization in Japan,London:Edward Elgar Publishing, October 1998.
杉原四郎『ミル・マルクス・エンゲルス』世界書院,1999年。

・鈴木 明
大石雄爾編『労働価値論の挑戦』大月書店,2000年2月。

・鈴木和雄
鈴木和雄『労働力商品の解読』日本経済評論社,1999年12月。

・鈴木良始
t.l.ベッサ-(鈴木良始訳)『トヨタの米国工場経営-チーム
文化とアメリカ人』北大図書刊行会,1999年7月。
s.m.ジャコ-ビィ(鈴木良始・他訳)『会社荘園制-アメリカ
型ウェルフェア・キャピタリズムの軌跡』北大図書刊行会,
1999年8月。
(共著)平尾武久・他編『アメリカ大企業と労働者』北大図
書刊行会,1998年。

・清野良栄
清野良栄編『分析・日本資本主義』文理閣,1999年10月。

・関根猪一郎
(共編著)経済学教育学会教科書編集委員会編『新時代の経済学入門』実教出版,1998年4月。

e ・瀬戸岡紘
(共著)岩田勝男編『21世紀の国際経済』新評論,19972年。

・高山 満
『資本論体系9-1恐慌・産業循環(上)』有斐閣,1997年12月(「現代資本主義と産業循環の変容」執筆)。
『同上(下)』有斐閣,1998年2月(「恐慌・産業循環論の展開」執筆)。

・竹内良夫
共著『現代世界経済論』時潮社,2000年1月。

・武田信照
武田信照『株式会社像の転回』梓出版社,1998年10月。

・建部正義
建部正義著『貨幣・金融論の現代的課題』大月書店,1997年。
建部正義著『はじめて学ぶ金融論』大月書店,1999年。
建部正義編著『日中の金融・産業政策比較』中央大学出版部,2000年。

・谷江幸雄
谷江幸雄著『ソ連経済の神話-システム転換の経済学』法律文化社,1997年5月。
パレッツュ・チャトパディヤイ著,(大谷禎之介・叶秋男・谷江幸雄・前畑憲子訳)『ソ連国家資本主義論-マルクス理論とソ連の経験』大月書店,1999年4月。

・千葉燎郎
食糧政策研究会編『wto体制下のコメと食糧』日本経済評論社,1999年6月10日。

・塚田広人
塚田広人『社会システムとしての市場経済』成文堂,1998年。

・土田和良
土田和良『なごみの経済学』開成出版,2000年1月。

・津戸正広
津戸正広著『労働の価値から労働の意味へ-「具体的労働」論の試み-』大阪府立大学経済学部,1998年3月。

・鶴田満彦
講座・資本論体系9-2『恐慌・産業循環(下)』有斐閣,1998年2月(「恐慌の必然性の論定に関する諸学説」執筆)。

・富沢賢治
富沢賢治『社会的経済セクターの分析』岩波書店,1999年。

・中川 弘
中川弘『マルクス・エンゲルスの思想形成』創風社,1997年4月。

・仲野組子
仲野組子『アメリカの非正規雇用』青木書店,2000年3月。

・中野洋一
中野洋一『軍拡と貧困の世界経済論』梓出版社,1997年4月。
(共著)土生長穂編『開発とグローバリゼーション』柏書房,2000年4月。

・中原隆幸
横川信治・野口真・伊藤誠編著『進化する資本主義』日本評論社,1999年(第7章翻訳担当)。
情況出版編集部編『グローバリゼーションを読む』情況出版,1999年(アラン・リピエッツ論文の翻訳担当)。

・長田 浩
長田浩著『少子高齢化時代の医療と福祉―医療・福祉の経済社会学入門―』明石書店,1999年7月。

・二瓶 敏
大西勝明・二瓶敏編『日本の産業構造』青木書店,1999年。

・野口 真
(共編)『進化する資本主義』日本評論社,1999年1月。
(共著)伊藤誠編『現代資本主義のダイナミズム』御茶の水書房,1999年10月。
(共著)降旗節雄・伊藤誠編『マルクス理論の再構築-宇野経済学をどう活かすか-』社会評論社,2000年3月。

・野原 光
浅生卯一・猿田正機・野原光・藤田栄史・山下東彦著『社会環境の変化と自動車生産システム』法律文化社,1999年9月。


・長谷川義和
経済学教育学会教科書編集委員会編『新時代の経済学入門』実教出版,1998年4月。

・原 伸子
(共著)増田壽男・沢田幸治編『現代経済と経済学』有斐閣,1997年4月。

・馬場宏二
馬場宏二『新資本主義論』名古屋大学出版会,1999年5月。

・馬場雅昭
馬場雅昭『流通費用論の展開』同文館出版,1999年4月。

・平野泰朗
共著『復権する市民社会論』日本評論社,1998年。
共著『戦後日本資本主義』藤原書店,1999年。

・深澤 敦
パット・セイン著,深澤和子・深澤敦監訳『イギリス福祉国家の社会史』ミネルヴァ書房,2000年3月。

・深町郁彌
深町郁彌『国際金融の現代』有斐閣,1999年。

・福島利夫
木下滋ほか編『統計ガイドブック社会・経済』第2版,大月書店,1998年3月(第6章「社会保障」執筆)。
岩井浩ほか編『情報化社会の統計学』改訂版,ミネルヴァ書房,1998年4月(第10章「生活と福祉の統計」執筆)。
岩井浩ほか編『統計学へのアプローチ』ミネルヴァ書房,1999年4月(第1編第3章「福祉」執筆)。

・福田 豊
福田豊・早見均・須藤修『情報経済論』有斐閣,1997年。

・保住敏彦
(共著)『再構築する近代-その矛盾と運動』社団法人全国日本学工会,1998年4月。

・宮嵜晃臣
石垣今朝吉編著『現代世界経済論』時潮社,2000年1月。

・宮田千藏
宮田千藏著『経済社会の研究』西日本法規出版,1998年7月。

・三輪昌男
三輪昌男『農協改革の新視点』農文協,1997年10月。

・村上和光
村上和光『日本における現代資本主義の成立』世界書院,1999年。

・森岡孝二
森岡孝二『粉飾決算』岩波書店,2000年1月。
池上惇・森岡孝二編著『日本の経済システム』青木書店,1999年12月。
基礎経済科学研究所編『新世紀市民社会論』大月書店,1999年1月。

・森田優己
柴田悦子・土居靖範・森田優己編著『新版交通論を学ぶ』法律文化社,2000年3月。

・八尾信光
八尾信光著『再生産論・恐慌論研究』新評論,1998年6月。
八尾信光著『資本主義経済の基本問題』晃洋書房,1999年3月。

・八木紀一郎
八木紀一郎『近代日本の社会経済学』筑摩書房,1999年。
山田鋭夫・八木紀一郎編『復権する市民社会論』日本評論社,1998年。

・安井修二
安井修二『市場社会主議論』信山社,1998年1月。

・矢野修一
高崎経済大学附属産業研究所編『現代アジアのダイナミズムと日本』日本経済評論社,2000年3月。

・八幡一秀
松永美弘編著『現代経営学総論』海声社,1997年(「中小企業と地域経済」執筆)。
建設政策研究所・中小商工業研究所編『建設産業の現在』東信堂,1997年(「建設中小企業の経営構造の変化」)執筆。
中小商工業研究所編『現代日本の中小商工業-現状と展望編』新日本出版社,1999年(「業種別にみた中小商工業の変化と今後の展望」執筆)。

・矢吹満男
大西勝明・二瓶敏編『日本の産業構造-ポスト冷戦期の展開』青木書店,1999年。

・山内 清
山内清『価値形態と生産価格』八朔社,1999年11月。

・山内良一
山内良一『農業保護の理論と政策』ミネルヴァ書房,1997年3月。

・山田鋭夫
共編『<レギュラシオン・コレクション4>回避レジームの再編』藤原書店,1997年。
共著『現代資本主義をどう視るか』青木書店,1997年。
共編『復権する市民社会論』日本評論社,1998年。
共編『戦後日本資本主義』藤原書店,1999年。

・山田博文
山田博文ほか編『現代日本の経済論』日本経済評論社,1997年8月。

・由井敏範
由井敏範『利益とキャッシュ・フロー会計』白桃書房,1997年6月。

・吉田文和
吉田文和著『廃棄物と汚染の政治経済学』岩波書店,1998年9月。

・涌井秀行
涌井秀行『情報革命と生産のアジア化』中央経済社,1997年4月。
産業構造研究会編『現代日本の産業構造』新日本出版社,2000年3月。

・渡辺雅男
共著『階級論の現在』(j.スコットとの共著)青木書店,1997年。
渡辺雅男『現代日本的階層差別及其固定化』(中文)中央編譯社(中国・北京),1998年。
(翻訳)リン・チュン『イギリスのニューレフト』彩流社,1999年。

・渡辺幸男
渡辺幸男『日本機械工業の社会的分業構造』有斐閣,1997年。
渡辺幸男『大都市圏工業集積の実態分析』慶應義塾大学出版会,1998年。