東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故についての声明
経済理論学会の幹事会は、去る3月11日におきた東北地方太平洋沖地震とそれが引き起こした巨大津波によって生命を奪われた方々に心からの弔意を表します。いまなお苦難のなかにおられる被災者のみなさまをお見舞い申し上げるとともに、災害対応・救援・復旧・復興の活動にたずさわっている方々に深く感謝いたします。また、いまだ進行中の東京電力福島第一原子力発電所の事故について、放射能汚染等による直接間接の被害のひろがりとともに、この事故で欠陥を露呈した現在の原子力発電のあり方を憂慮していることを表明します。
今回の地震が通常の予想以上の規模のものであったからといって、社会科学者としては、すべてを「未曾有の自然災害」としてその判断を停止することはできません。震災についてだけでも、予知と警告、そして防災の活動は十分であったのか、初期の段階で情報を途絶させずに効果的な救援体制を組むことはできなかったのか、ライフラインの脆弱性は何によるものか、救援および復旧の体制は適切であったのか、救援・復旧・復興の経済的支えはどうあるべきか、という一群の問題が浮かび上がります。とくに原発事故については、その発生および事故処理の遅延と拙劣さは、これまで原子力発電を推進してきた体制と政策に起因するのではないかと疑わざるを得ません。これまでの原子力政策は、政府および、原子力産業・電力会社、政治家、そして一部学者やジャーナリストを含む原子力ロビーによって推進されてきました。そうした政策形成のあり方は、現在の事故防止対策や事故処理の体制などとともに全面的な点検と見直しが必要であると思われます。また、当面の電力不足のもとでの産業および生活の維持と将来のあり方、復興とその経済的負担のあり方など、今後の日本の産業・経済や財政のあり方にかかわる構想も必要でしょう。
経済学は、その語が経世済民から来ているように、社会と人々の生活を苦難から救い出し安定させるための学問です。それが支配者の統治の術から市民社会の自己認識のための学となったときに社会科学としての経済学が成立しました。経済理論学会に集う研究者は、社会科学として経済学を研究する立場から、この震災の被害・復興問題に取り組むとともに、それによって提起されている日本経済の問題を経済理論にかかわる問題としてとりあげたいと思っています。
本日の幹事会は、今秋9月17−18日に立教大学で開催が予定されている第59回大会の2日目の午前に、震災と原発事故について参加者全員で討議するための特別部会を設けることを決定し、その組織者として、後藤康夫(福島大学)・森岡孝二(関西大学)・八木紀一郎(摂南大学)の3幹事を指名しました。この特別部会は並行分科会のないプレナリーセッションです。このセッションでは、今次の震災・原発事故問題に対する社会科学的な取り組みにかかわる提言を、会員・非会員を問わずお寄せいただき、それを基礎にして討論をおこないたいと思います。ぜひみなさまのご意見を、学会事務局あるいは上記3幹事にお伝えいただけるようお願いします。
<< ご意見・ご提言の第1次集約の期限を6月10日とします。1000字程度のご発言を以下宛に電子メイルあるいは郵便でお送りください。 集約先:〒572-8508 大阪府寝屋川市池田中町17番8号 摂南大学経済学部 八木紀一郎宛 yagi [at] econ [dot] setsunan [dot] ac [dot] jp >>
経済理論学会(Japan Society of Political Economy)へのお誘い
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経済理論学会は1959年5月に設立され,2007年5月現在,約1,000名の会員を擁しています。この間,本学会は,経済学(ポリティカル・エコノミー)の総合学会として,「大会案内」に示されていますように,経済学の基礎理論から現代資本主義の諸問題までの広範なテーマを,科学的に批判的な見地に立ちながら多角的に取り上げてきました。21世紀に入り,市場経済のグローバル化とともに,地球規模での環境汚染,富の偏在やそれにともなうさまざまな経済的格差の拡大など,その弊害が深刻化している現在,本学会の果たすべき役割はますます大きくなっております。
この課題に応えるため,本学会は今世紀に入って,一方でICAPE(The International Confederation of Association for Pluralism in Economics)への準加盟,韓国社会経済学会,中国資本論研究会との交流など,国際交流の強化を図るとともに,他方では,若手研究者をはじめ入会者を多数迎えて活動を活性化していくために,2004年度からレフェリー制を伴った機関誌をそれまでの『年報』から年4回刊の『季刊 経済理論』へと拡充し,会員の研究成果の内外への発信力を飛躍的に高めました。
専門分野の如何を問わず,経済学(ポリティカル・エコノミー)の研究に関わっておられる方々のご入会をお待ちし,歓迎いたします。
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